人材を採用する上で難しいのは、やはりその人の"人物"を見極めること。資格、スキル、職歴といった書類の内容だけでは分からない部分は多い。特に、どのレイヤーまでの仕事を任せられそうかといった適性や人柄は、採用担当者が最も悩むところだろう。
首都圏コンピュータ技術者株式会社(以下、MCEA)においてこのほど本格的に活動を開始した「ディレクス」は、ITを活用しているあらゆる企業に、マネージメントできる人材を紹介することを目的としたチームだ。
人材あればこそ……実力が評価されるフリーランスの世界で
同社は創立から26年に亘って、国内多数のシステム開発の現場に「共同受注」という形でエンジニアの人材紹介を行っているが、その中にはエンジニアとしてのスキルもさることながら、どうビジネスを作れば良いのか、どんなシステムが必要なのかといった、いわゆる上流工程で能力を発揮している人たちがいる。ここに特化した部門があれば、エンジニアにとっても、クライアント企業にとっても、良い仕事につながり同社の新たな強みにもなるのではないか。コーディネーターの大津良さんの発案が「ディレクス」設立のきっかけだった。
通常MCEAでは、クライアントの求めに応じて人材を紹介してるが、大津さんはコーディネーターとして日頃からクライアントと接するうちに感じた潜在的な課題を解決できる人材として、あるエンジニアを紹介した。結果的にその人物は社内の大きなプロジェクトを任され、現在は若手の教育を兼ねながら組織戦略を担うまでの活躍をすることになった。同様の事例を経るうちに、これまでMCEAでは事例の少なかった最上流工程での活躍の場が増え、ディレクスの基盤となっていった。
こうしたケースに該当するのは、大手企業で技術畑から管理職までを経験して独立した人や、成長著しいITベンチャーで役員を歴任した人など、大きなプロジェクトで人を動かしてきた人物が多い。また、中には若くても実際に現場に入って力を発揮し、大きな成果を上げている人もいる。
過去の経験から、MCEAのプロエンジニアの中でこうした素養を持つ人は少数派だという。「年齢やエンジニア経験の長さではなく、力のある人を見つけ出していっしょに仕事をしていきたいと思う」と大津さんは語っている。
ディレクスだからこそ、現場経験豊富なITディレクター
これまで、MCEAのクライアントにはSIerやソフトハウスといったいわゆる元請け・二次請けの企業が多かったが、ディレクスでは発注側となる企業を開拓していくことを考えている。最初にターゲットとするのは、事業としてWebサービスを提供している企業や、ITを主要事業としていないがEコマースなどを活用している企業などだ。
「ディレクスには様々な分野に強みを持つITディレクターが所属しており、悩みを抱えるクライアントに自信をもってご紹介できます。また、通常大手コンサルティングファーム等で同レベルの人を雇うためには月額200万円以上かかることは確実で、コストパフォーマンスという面でも納得感を持ってもらえると思います。」と、大津さんは自信を見せる。プロジェクトのマネジメントを請け負うにしても、ディレクスのITディレクターはシステム開発の現場を経てきた強みがある。時間をかけて人材を育てたり、マネージャークラスの人材を確保したりすることが難しい今のIT業界において、スキルもあり現場感覚を持った人物が現場をまとめてくれるとなれば、頼れる存在になり得ることは間違いない。
クライアントとエンジニアのために、信頼できる人物評価を
決められた要件に応じてシステムを作る仕事に比べると、その前の段階で客先の立場に立ち、プロジェクトやビジネス全体を考えられる人物かどうかという点は、経歴書ベースでは分かりにくい部分だ。それを見極めて客先へ提案していくのがディレクスの目的だ。そこでは、人物の評価に対して客観的に見た信頼性が重要になる。
ディレクスを含むMCEAのプロエンジニアのブランド化プラットフォーム事業「PE-BANK」では、契約するエンジニアに一定のスキルや実績といった基準を設けることでクライアント企業に対する品質保証としている。ディレクスでは、これを満たした上でさらにマネジメント経験やプロジェクト規模・役割といった厳しい基準を設けている。また、現在、実際にディレクスのITディレクターとして活躍している人事採用経験者の協力も得て、面談で考え方や失敗例・成功例などを聞きながら、人間性を見極めていく。
多くのエンジニアと仕事をする中で、この点が最も難しいということを繰り返し経験してきたという大津さん。「エンジニアの活躍は現場にも左右される。ここが良かったから次も良いと言い切れない。原因があればそれをできるだけ回避できる環境にして、うまくいくようになるケースもある」と語る。スペシャルな分野の仕事だからこそ、クライアントにとって、またエンジニアにとって信頼できるパートナーであろうとする姿勢を、ディレクスは貫いている。
PE-BANKの一環であるディレクスもITディレクターと「共同受注」を行う。クライアントがMCEAへ発注する金額の目安は下記の通り。1ヵ月あたりの契約単価
※通常のコンサルティングファームでは1名あたり200-300万円程度が相場。
MCEA全体(東京本社) 平均64万円/月 ディレクス 80~150万円/月