国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(Center for Computational Astrophysics:CfCA)は11月13日、数値計算専用スーパーコンピュータCray XC30システム「アテルイ」のアップグレードを行い、10月1日より共同利用運用を開始したと発表した。
CfCAでは、シミュレーション天文学のためにスーパーコンピュータの運用を行っている。2013年4月に国立天文台 水沢キャンパスに設置されたスーパーコンピュータCray XC30システム「アテルイ」は、国立天文台が運用する数値計算専用計算機としては第4世代にあたる。当時の理論演算性能は502TFlopsで、これにより天文学におけるさまざまな分野でのシミュレーションによる理解が加速したというが、運用している間にも、天文学のシミュレーション技術とそれに求められるコンピュータの性能が高くなっていったという。
そうしたニーズを受けて今回、「アテルイ」のアップグレード作業が行われた。同作業は、最新のCPUを搭載したブレードへの交換が主なものとなった。また、筐体は8から6へと数を減らし、それに伴い、CPU同士をつなぐインターコネクトのつなぎ替えも行われたという。筐体の数は減ったが、最新CPUの搭載により、計算能力は従来比約2倍となる1058TFlops(1.058PFlops)へと向上。この性能は、天文学専用スーパーコンピュータとしては世界最速のものであり、「アテルイ」は国立天文台が運用するスーパーコンピュータとして初めて1PFlopsに到達したマシンとなったという。