Analog Devices(ADI)は11月13日、ワイドダイナミックレンジのGSPS(ギガサンプル/秒)データコンバータからFPGAへの接続を簡素化するラピッドプロトタイピングキット「AD-FMCDAQ2-EBZ」を発表した。
同キットは、レーダや計測器、ワイヤレスラジオ、さらにその他のデータアクイジションアプリケーション向けに、XilinxのFPGA「UltraScale」やオールプログラマブルSoC「Zynq」デバイスなどの主要FPGAプラットフォーム上で、高速JEDEC JESD204B SerDes GSPSデータコンバータからFPGAへのインタフェースの迅速なプロトタイピングが実現できる。また、ハードウェアと処理アルゴリズムの照合、プロトタイプから生産への迅速な移行を実現するFMCフォームファクタのプロトタイピングシステムであり、ワイドバンドRF信号処理システム設計に伴う時間とリスクを節減できる。さらに、性能、帯域幅、および集積機能により、業界最高のダイナミックレンジと最良のノイズ性能を実現する。これにより、混雑したRF環境において、これまでにない広い帯域幅にわたり、より優れたシグナルアクイジションを達成できるという。
この他、超高速データコンバータ、ドライバアンプ、クロック、およびパワーマネジメントICを含む検証済みのリファレンス設計が提供される。加えて、HDL(ハードウェア記述言語)コードやデバイスドライバ、アイアナライザツール、および同社のEngineerZoneオンライン技術サポートコミュニティにおけるオンラインサポートも提供される。
また、「AD-FMCDAQ2-EBZ」には、オンボードデュアルチャネル14ビット1GSPS A/Dコンバータ(ADC)「AD9680」が含まれている。1GHz入力をコンバージョンする場合、80dBcのスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)性能と61.4dBFSのS/N比(SNR)を実現しながら、チャネル当たりの全消費電力は1.65Wと微小である。さらに、4チャネル16ビットD/Aコンバータ(DAC)「AD9144」が含まれており、そのうち2チャネルはボード上でアクセスできる。82-dBcのSFDRと2.8GSPSの最大サンプル速度で、最高Nyquist周波数までのマルチキャリア生成が可能となっている。そして、低ジッタクロック発生器「AD9523-1」も含まれており、オンチップPLLや2個のVCO分周器付きVCOとの相乗効果で、低ジッタ性能でかつ低パワーのマルチ出力クロック配分機能を提供する。
なお、「AD-FMCDAQ2-EBZ」の価格は1495ドル。すでに量産出荷を開始している。