米Evernoteは11月10日、東京都・渋谷ヒカリエで報道陣向け発表会を開催し、同社と日本経済新聞社の資本・業務提携と「コンテキスト機能」の連携開始を発表した。

米Evernote CEO フィル・リービン氏(左)と日本経済新聞社常務取締役 デジタル事業担当の野村裕知氏(右)

コンテキスト機能は、ユーザーがEvernote上で取り組んでいるプロジェクトや、その資料に関する情報を自動表示・レコメンドするもの。

同社が開発した独自アルゴリズムにより、ユーザーが入力・収集する情報を解析。過去のノートから関連する情報を提示するほか、Evernote Businessの場合は、チームで共有するノートからも関連情報を引き出す仕組みだ。同機能は10月2日(米国時間)、米サンフランシスコで開催されたEvernote Conferenceでも発表されている。

この追加機能では外部ソースからの関連情報も表示できるようになっており、機能の提供にあたって米国ではDow Jonesとパートナーシップを締結し、Wall Street JournalやFactivaなどのコンテンツ表示も実現している。

日本向けコンテキスト機能の提供を可能にした、日経新聞との提携

今回の業務提携によりエバーノートは、コンテキスト機能を日本ユーザー向けにも2015年初頭から提供を開始する。ユーザーは、Evernoteと「日本経済新聞 電子版(日経電子版)」双方のサービス上で、キーワードや文脈に適したコンテンツの自動表示機能が利用できるようになる。

ユーザーが作成するノートの内容に応じ、関連する日経電子版の記事が自動的にノート下部に表示される

記事は、Evernote上で閲覧することができる

同機能に適応されるコンテンツは、日経電子版に掲載されている朝刊や夕刊、電子版の独自記事などが対象。コンテンツはEvernote内での保存だけでなく、ノート作成時に出典元が自動反映され引用しやすくなる。

記事内の一部を選択すると、ノートに引用することが可能

引用文には元記事のリンクも合わせて記載される

一方、日経電子版を閲覧する際に、ユーザーがEvernote内で作成・保存したノートやグループで共有したノートから、閲覧中の記事に関連するものを自動的に表示する機能も提供する予定。これは米国でも提供されていない世界初の機能だという。

閲覧する記事内容に関連するノートなどを日経電子版上に表示する

報道陣向け発表会に登壇した同社CEO フィル・リービン氏は、業務提携を行った理由について、日本経済新聞がビジネスニュースを提供するメディアとして信頼されている点を挙げた。

続けて登壇した日本経済新聞社 常務取締役 デジタル事業担当の野村裕知氏は、「エバーノートと日経新聞の価値観が共通であったこと」が資本・業務提携の最大の理由だと説明。その価値観とは、「長期的な視点による事業展開」と「本当に役立つ情報の追求」とした。

「ベンチャー企業でありながら、長期的な視点でビジネスを展開する姿勢や、ビジネスパーソンにとって何が重要な情報なのかを追求する方針に共感した。新聞社は、記事の量や発信力という部分を注視しがちであるが、Webへの展開を通じて、『本当に価値のある情報を必要な時に使いやすいかたちで提供する』ことが重要だと再認識し、今回の提携に至った」(野村氏)

なお、同提携によりエバーノートは、日経新聞より2000万ドル(約22億8100万円)の戦略的出資を受ける。両社は今後、日経電子版読者にEvernote上の機能を開発・提供していくほか、共同販促キャンペーンも行っていく考えだ。