NECは11月11日、テラヘルツ(THz)アレイセンサの新画素構造を開発し、0.5~0.6THz付近において、同社比で約10倍の最小検知パワーの向上を実現したと発表した。
また、従来の4倍の画素数にあたる640×480アレイセンサの製造技術を開発し、同アレイセンサを搭載したカメラを作製した。この画素数は、THzの周波数領域では世界最大の画素数となる。さらに、隣り合うピクセル同士をまとめる4×4のピクセルビニング処理により信号雑音比を更に4倍に向上させ、新画素構造の効果と合わせて最小検知パワーを約40倍に向上し、室温動作の2次元アレイセンサとしては同周波数領域で世界最高感度を実現したという。
THz波は、赤外線と電波の中間に位置する電磁波で、プラスチック・紙・衣服などを透過し、またTHz波を用いた画像計測はX線よりも安全であると考えられているため、次世代の非破壊検査技術や病理診断技術の有力な候補として研究が進められている。
同社は「今後、今回の成果を活用してテラヘルツ画像計測装置の開発・製品化を進め、非破壊検査、医療・創薬、違法物検知等の分野で貢献していく」とコメントしている。