NTTドコモとNECは11月4日、クラウド内の仮想サーバ間の通信に、オープンソース・ソフトウェアとパケット通信処理を行うための汎用ハードウェア、NICを効果的に組み合わせることで、通信速度を従来の最大6倍に向上できることを実証実験で確認したと発表した。

同実証実験では、OpenStackのネットワーク機能「OpenStack Neutron」のオープンソース実装のみを用いて、100台の物理サーバを用いた環境を構成し、異なる物理サーバに搭載された複数の仮想サーバ間で最大16Gbpsの通信速度を達成した。

今回の実証実験は、石川県にある情報通信研究機構(以下、NICT)の実験環境「StarBED」上の物理サーバを利用し、NICT、日本仮想化技術、NTTアドバンステクノロジ、北陸先端科学技術大学院大学、東京大学、デルと協力して、実施された。

具体的には、以下の項目が検証された。

  • 100台の物理サーバ上で最大5000台の仮想サーバを運用した場合の安定性

V* XLANのオフロード機能に対応したNICを利用した場合の通信速度向上度

  • 仮想サーバ間で合計10Gbps以上の通信速度を実現するためのネットワーク構成

  • 高可用性機能が複数の仮想的に分離したネットワークで正しく動作すること

NTTドコモとNECが実施した実証実験の概要

NTTドコモとNECは、「OpenStack Neutron」の課題となっていた耐障害性を高めるため、障害発生時にも通信制御を行う機能を冗長化させることにより、通信を継続させる高可用性機能の開発を共同で行った。

その結果、通信速度の向上と高可用性機能を実現したことにより、1つのクラウド上で複数の仮想ネットワークを構築し、セキュリティを高めることが可能な「OpenStack Neutron」の機能を商用導入できる水準まで改良することができたという。

NTTドコモは2015年度内に今回開発した「OpenStack Neutron」を商用導入し、高速で安定した新しいクラウドサービスを実現する構え。