『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をはじめ、『シザーハンズ』、『バットマン』、『チャーリーとチョコレート工場』、『アリス・イン・ワンダーランド』など、誰もが一度は目にしたことがある多くの映像作品を世に送り出しているティム・バートン。
最新作『ビッグ・アイズ』の日本公開を来年1月に控え、彼のルーツを知ることができる展覧会 「ティム・バートンの世界」が、2015年1月4日まで森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 52階)で開催されている。本稿では、会期前に行われたメディア向け内覧会の様子をお届けする。
同展は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)を出発点として、プラハなど世界を巡回している同氏の個展。8つのセクションで構成されており、幼い頃から自分自身のコミュニケーション手段のひとつとして日常的に描き続けてきたスケッチやデッサン、キャラクターの原画や油絵、オブジェに加え、10代の頃に撮影した未公開映像作品や写真など約500点にもおよぶ作品が展示されるという、ファンは垂涎まちがいなしの内容だ。
内覧会には、ティム・バートン本人が登場。内覧会に先駆けて行われたオープニングセレモニーにも登場し、バートンが大好きというウルトラ怪獣「ダダ」がジャケットの胸ポケットから顔を出していたりと、映画から飛び出してきたかのようなチャーミングな雰囲気が印象的だった。ここからは、展覧会の内容をほんの少しご紹介したい。
ラフスケッチなどキャラクターの「出発点」を展示
「アラウンド・ザ・ワールド」と名付けられた最初のセクションは、いわばインスピレーションルーム。スタジオを出て世界中をめぐる間にレストランやカフェの紙ナプキンやホテルのレターセットに描かれた、まさにキャラクターたちの出発点を垣間みることができる貴重な作品群だ。
ホラーとユーモアの表現
仮面や道化のイメージなどグロテスクな娯楽の代名詞にもなっている「カーニヴァレスク」。ホラーとユーモアの相互作用という、バートンの作品でも重要な役割を果たす表現のセクションとなっている。
結実しなかった「プロジェクト」
「実現しなかったプロジェクト」では、バートンが関わった映画、テレビ番組、書籍のうち、さまざまな段階で中止になってしまったプロジェクトに関する作品を取り上げている。世に出ることの無かった作品のかけらたちを目の当たりにできる貴重な機会と言えるだろう。
ティム・バートンのプライベートな思考を垣間見る
バートンの深層心理やプライベートな思考が反映された個人的な作品が取り上げられた 「フィギュア:男?女?生物?」セクション。同氏が生み出してきた作品の源泉をのぞき見るような、スリリングなパートとなっている。
「誤解されがちなアウトサイダー」
「誤解されがちなアウトサイダー」のセクションでは「僕はいつもアウトサイダーに魅力を感じる」という、バートンの作品の多くにみられる一貫したテーマに基づいた作品を展示。1998年に出版された「オイスター・ボーイの憂鬱な死」という絵本の登場人物など、随所にそのテーマは見受けられる。
同じく内覧会に出席したチーフキュレーターのジェニー・ヒー氏は「本人はいい生き方をしたいと思っているのに、いつも結果が惨澹たるものになる。キャラクターたちは自分のクリエイティビティでなんとか反逆しようとします。スウィーニー・トッドがユニーク(笑)なパイを作ったり、シザーハンズのエドワードが氷の彫刻をつくったりしたように。それはどこかバートン自身にもつながる部分があるのかもしれません」と解説している。2009年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で新たに発表された「バルーンボーイ」にも注目だ。
なお、会場の「ティム・バートン ショップ」では、ここでしか手に入らない日本限定の「ティム・バートンの世界」オリジナルグッズも販売される。世界を魅了し続けるティム・バートンのイマジネーションの源泉を、ぜひ自身の五感すべてで体感してほしい。
ティム・バートンの世界(東京開催)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
期間:2014年11月1日(土)~2015年1月4日(日)
入場料:一般1,800円 高校生・大学生1,300円 子供(4歳~中学生)800円
(c)2014 Tim Burton