10月28日~29日(現地時間)、米NetAppが開催するテクノロジーイベント「Insight 2014」が米ラスベガスで開催された。29日の午前中には、前日に続きゼネラルセッションが行われ、米Vmware、米Microsoft、米IBMなど、NetAppのパートナーが登壇した。

オープニングでは、米NetApp Senior Vice President & Chief Marketing OfficerのJulie Parrish氏が登場。

米NetApp Senior Vice President & Chief Marketing OfficerのJulie Parrish氏

「私たちのお客様が勝たなければ我々も勝つことはない。そのベースとなるのがパートナーで、私たちとチームを組み、お客様を成功に導いている」と語り、同社の「Together We Can」というメッセージを改めて強調した。

EUCで重要なこと

そして、ゲストスピーカーとして、米VMware Vice President and Chief Technology Officer Kit Colbert氏を紹介した。

VMwareとNetAppは、2002年からパートナーシップを組み、現在では4万社の共通の顧客を抱えており、NetAppのすべての製品がVMwareから認定されているという。

Kit Colbert氏は、NetAppとのパートナーシップの強さとして、両社CEOが米AT&T球場でのイベントに参加した写真を紹介した。右が米VMware CEO Pat Gelsinger氏、左が米NetApp CEO Tom Georgens氏

米VMware Vice President and Chief Technology Officer End-User Computing Kit Colbert氏

Kit Colbert氏は、EUC(End User Computing)について説明し、「VMwareはSoftware Defined DataCenterに注力しており、NetAppとのパートナーが成功した要因だ。お客様を成功に導くためには、データセンターでアプリを走らせるだけでなく、それをどのようにすべてのエンドユーザー、デバイスに繋げるかが重要だ」と述べた。

同氏はEUCの良い例としてVMware Workspace Portalを使ったヘルスケアの事例を紹介。EUCのポイントとして、一カ所からすべてのアプリにアクセスできる点、セルフサービス型で、ユーザーは自分の使いたい環境に変更できる点、Mac、Windows、スマートデバイスなど、場所や用途に合わせマルチデバイスを使い分け、それらの間をシームレスに移動できる点、ユーザーが意識しなくても背後では一貫したセキュティポリシーが担保されている点を挙げた。

そして、お客様の成功とは、テクノロジーによって、お客様が自分の本来やるべき仕事(本業)に多くの時間を割いてもらうことだと語った。

同氏は最後に、NetAppとの12年間のパートナーシップにも触れ、「2社のパートナーシップは、まだまだこれからだ。オールフラッシュアレイやVDIでは、まだまだ協力することがある。それによって、他社との大きな違いをもたらすことができる」と語った。

興味深い意見が多かったパートナー対談

ジェネラルセッションでは、続いて、米NetApp Executive Vice President and Founder のDave Hitz氏がモデレータを務め、パートナー3社が参加する対談が行われた。

参加したパートナーは、米IBM Vice President of SDN Cloud Services and CTOでSoftLayerを担当するMac Devine氏、米Microsoft General Manager Cloud & Enterprise Data Analysis and OperationsのSteve Martin氏、米Verizon Director of Global Product StrategyのRyan Shuttleworth氏で、フランクに意見が述べられ、非常に興味深かった。

米NetApp Dave Hitz氏(一番右)がモデレータを務めた対談。左から米Microsoft Steve Martin氏、米IBM Mac Devine氏、米Verizon Ryan Shuttleworth氏

まず、現在のITの状況については、米VerizonのRyan Shuttleworth氏は、分散しているものを統合していることが現在の大きな課題だと指摘し、米IBMのMac Devine氏は、顧客はITに早く、簡単にすることや、これまで思いつかなかったような新しいソリューションを提供してくれることを望んでいると語った。

そして、米MicrosoftのSteve Martine氏は、クラウドへの移行は比較的ゆっくりで、多く見積もっても、まだ全体の14%くらいだ。ITの世界はまだまだオンプレミスが主流で、クラウドは開発とテストから始めるのが一般的だ。そのため、クラウドとオンプレミスを行ったり来たりできるよう、ハイブリッドクラウドを始めるべきたと強調した。

セキュリティ(スノーデン事件の効果)については、米IBMのMac Devine氏は、データのプライバシーに関する法律は各国によって違うので、多くの国にデータセンターを作っている実情を訴え、米VerizonのRyan Shuttleworth氏は、データがどこに存在すかか問題になると指摘。その上で、「これまで多く人がデータセンターを信頼していたが、スノーデン事件が起こって、データが見られていると知り、セキュリティポリシーを厳しくするようになった。セキュリティはそういう周期を繰り返していくものだ」と語った。

興味深い回答が得られたのはデータの役割についてだ。米VerizonのRyan Shuttleworth氏は、「データを収集すれば、それを捨てたくなくなり、どんどん増えていく。それを分析すれば、新たな革新が生まれ、お客様に価値を提供できるが、そのためには、最新のストレージや技術が必要だ。機器は入れ替えることができるが、データは入れ替えることができない。それが大きな違いだ」と語ったほか、米IBMのMac Devine氏は、データを1つの容器に入れて分析するだけでは、顧客のニーズは満たせない。ユーザーは、早く回答がほしいとき、モバイルデバイスでアクセスする。そういったニーズには、アクセスした場所などを考慮した新しい方法でデータを提供する必要がある。そうすれば、その個人に合ったデータとなり、そういう人たちがサービスを推進してくれると、新たな見解を示した。

また、クラウドは大きなプロバイダに集約されてしまうのかという問いに、MicrosoftのSteve Martine氏は、「1つのクラウドベンダーがすべての領域を制覇することはありえない。その答えはすでに出ている。競争、多様性がほしいとユーザーは思っている。実際に、ストレージは3年でコストが50%下がった。競争があることで、ユーザーは成功を収めることができ、イノベーションを起こすことができる」と回答した。