IDC Japanは10月29日、2013年の国内モバイルセキュリティ市場規模実績と2018年までの予測を発表した。
モバイルセキュリティ市場は「モバイルアイデンティティ/アクセス管理」「モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理」「モバイルセキュリティ/脆弱性管理」「その他モバイルセキュリティ」で構成。2013年の同市場の売上額構成比では、マルウェア対策製品を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が全体の6割超を占めた。
スマートフォンやタブレット端末を狙ったマルウェアは急増し、手口は巧妙化しており、マルウェア対策を含むモバイルセキュアコンテンツ/脅威管理が市場拡大をけん引するとみている。同市場の2013年~2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は16.5%で、市場規模は2013年の58億円から2018年には123億円に拡大すると予測している。
機能別の2013年~2018年のCAGRでは、モバイルアイデンティティ/アクセス管理が19.6%と最も高い成長率で推移し、市場規模は2013年の8億円から2018年には20億円へと拡大するとみている。
モバイルアイデンティティ/アクセス管理市場は、企業でのモバイル機器の利用拡大で、社外から社内リソースへのアクセスが増加し、モバイル機器における認証強化が求められている。
このため、ユーザー個人のIDとパスワードのみの固定パスワード認証と、ワンタイムパスワード認証やSSL証明書による認証、リスクベース認証などを組み合わせた多要素認証への需要はますます高まるとみている。
2013年の国内モバイルセキュアコンテンツ/脅威管理市場は、前年比成長率が25.3%で市場規模は37億円だった。同市場は、コンシューマー市場でAndroid端末向けマルウェア対策製品の需要が拡大している。法人市場では、モバイルデバイス管理の導入拡大とともにマルウェア対策への需要が高まり、同市場の2013年~2018年のCAGRは16.4%で、2018年の市場規模は78億円と予測している。
同社が2014年1月に実施したユーザー調査の結果では、モバイル機器導入時に4割以上の企業でセキュリティやコンプライアンスの課題があると回答。企業は、モバイル機器を導入することで、社外からの社内リソースの利用やモバイル機器の盗難/紛失による情報漏洩といった課題を抱えるため、セキュリティ対策の強化やコンプライアンス対応強化が必要となる。
また企業では、クラウドやモビリティ、ソーシャルといった新しいテクノロジーを活用した業務システムへの移行が進んでいる。特にタブレットの活用においては、業務に特化したソリューションで利用されることも多くなっている。
IDCでは、「ユーザー企業とベンダーは、モバイル機器の導入設計段階から、情報システム部門ばかりでなく、業務を遂行しているビジネス部門も巻き込んでセキュリティ対策の取り組みを行うべきである」としている。