日本HPは10月24日、SAPのインメモリデータベース「SAP HANA」向けの「HP ConvergedSystem」(垂直統合システム)として、「HP ConvergedSystem 900 for SAP HANA Scale-up Configurations(以下、HP CS 900)」を発表した。同日より販売開始する。

「HP ConvergedSystem 900 for SAP HANA Scale-up Configurations」

SAP HANA向けのHP ConvergedSystemとしては、同社は今年の4月に中小規模向けに「HP ConvergedSystem 500 for SAP HANA」を発表しており、今回の「HP CS 900」は、これに追加するもので、大規模ERPやビッグデータ分析用途を想定している。

「HP CS 900」は、シングル・メモリ・プールで最大12TBのデータを提供できるSAP認定を取得しており、CPUも最大240コアをサポート、同社によれば業界最大のスケーラビリティだという。

「SAP HANA」向けの垂直統合システムはすでに多くのベンダーから提供されているが、今回の「HP CS 900」は、HPとSAPによる共同開発プロジェクト「Project Kraken」によって生まれている。

日本HP 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏

日本HP 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏は、「SAPとHPは『Project Kraken』というプロジェクトを立ち上げ、戦略的な提携があった。開発レベルで提携しシステム開発した唯一のアプライアンスだ。単純なコンバージドシステムではない。これが他社にない強みだ」と述べた。

具体的には、OSやパフォーマンスチューニングなどソフトウェア面で改善されているという。

「Project Kraken」プロジェクト

「HP CS 900」には、管理サーバとして「HP ProLiant DL380p Gen8 Server」、ストレージとして、 HP 3PAR StoreServe 7400シリーズ、サーバとして、HP ProLiant and Superdomeを搭載。

参考価格はメモリ6TB/CPU 8ソケットモデルが2億9,515万円~、メモリ 12TB/CPU 16ソケットモデルが5億5,913万9,000円~、メモリ2TB~96TBのスケールアウトモデルが7億7,721万円~(いずれも導入作業と3年間の保守サービスを含む、SAP HANAライセンスは含まず、税別)。

「HP CS 900」のラインナップ

「HP CS 900」は出荷前に工場内で事前構成し、最適化と検証を済ませることで、システムの注文からインストール、運用までの時間を30日に短縮する。

手島氏は、「HP CS 900」のポイントとして、業界最大のスケーラビリティ、業界最速のパフォーマンス、業界最高クラスの高可用性、高信頼性を挙げた。

スケーラビリティでは、メモリ最大12TB、最大CPU 16ソケット(240コア)の拡張性を確保したこと、パフォーマンスでは、「HP CS 900」がベンチマークで世界記録を更新したこと、高可用性、高信頼性では、DIMM上のDRAMが2つ故障してもメモリ上で吸収され、システムに影響しないメモリ保護機能やメモリエラー詳細ログの取得、SAP HANAに最適化されたクラスタリングソフト「HP Serviceguard for SAP HANA」を搭載している点を挙げた。

高速化のため自社開発チップXNC2を搭載

メモリ保護機能

SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスソリューション統括本部長 堀田徹哉氏

発表会でゲストとして登壇したSAPジャパン バイスプレジデント ビジネスソリューション統括本部長 堀田徹哉氏は、「SAP HANAは3年前から提供し、インメモリの高速性を活かしたビッグデータアナリティクスからスタートしたが、昨年から『SAP Business Suite powered by SAP HANA』を提供し、基幹系システムも動作するように進化してきた。今後は、アナリティクス、ERP、M2MなどさまざまなミッションクリティカルシステムがHANA上に載るようになる。そのような基盤を支えるには、強力なハードウェアが必要で、HP CovergedSystem 900はまさにベストタイミングだ」と述べた。