複写機を始め幅広い事業を展開しグローバル市場で成長を続けるコニカミノルタでは、IT運用コストの観点からデータセンターの最適化を進めていた。しかし、東日本大震災を契機にもう一度そのあり方を再点検し、社内のシステムを重要度に応じた3段階のリカバリ基準を設けた。さらに、それを実現する上で、もう一歩踏み込んだ取り組みが必要であることに気づいた同社は、10月30日(木)に開催される「―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで― 最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」と題したセミナーにて、その詳細や決断にいたった背景、さらには今後の展望を明らかにする。

本稿では、同セミナーの特別講演に登壇するコニカミノルタ IT業務改革部 ITアーキテクチャグループ マネージャー代理の末崎琢之氏に、当日の講演内容を事前に伺ったので、その一部を紹介しよう。

―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで― 最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」の参加申し込みはこちら(参加費無料、10月30日(木)開催、東京都千代田区、開場13:30~)

東日本大震災を契機にDRレベルを再点検

コニカミノルタ株式会社 IT業務改革部 ITアーキテクチャグループ マネージャー代理末崎琢之氏

「2011年03月11日、東日本大震災では外部の専業データセンターは無傷でした。自社のデータセンターも実害はなかったのですが、拠点が東京都内であったため、その後に実施された東京電力の計画停電に引っかかってしまったのです」と末崎氏は語る。

当時は、専任オペレータが仕事にあたっていたものの、開発検証機等、自家発電装置配下に収容していないサーバの計画停電に合わせた起動/停止を逐一見守っていたという。

こうした”人手をかけてなんとかサーバを動かす”経験をしたことにより、IT業務改革部ではDR対策の重要性を再認識した。そこでまずはルールを策定することが第一であり、コーポレート・ガバナンスも含めてセキュリティ管理を担当するグループが主管となって、自社情報システムを重要性に応じた3段階に分類することを決めた。

それぞれ、「A:ライフラインに関わるため、絶対にシステムダウンさせてはいけないシステム」、「B:ビジネスに関わるものの、少し状況が落ち着いてから再稼働させればよいシステム」、「C:データセンターの再開など、すべての状況が落ち着いてから再稼働させても支障のないシステム」と定義し分類した。

リスクヘッジとコストの間でコニカミノルタの出した結論とは?

このように、情報システムの”重みづけ”は決まり、それに合わせたデータの保護とリカバリの方策の検討を進めていったのだが、末崎氏は全体プランを確認する中である重要なことに気がついたという。

「失ってはならないデータはテープバックアップを取って遠隔地に金庫保管、などと対策は決めたものの、考えてみれば、被災してハードウェアが壊れてしまうとデータはあってもデータのリストア先がなく、システムを再稼働できません。そうかといって、最初からまったく同じ環境を離れた拠点に2つ持つなどすれば、冗長性は大きく向上しますが、億単位のコストがかかります。リスクヘッジとコストの間でどうバランスを取るか。部の中で徹底的に議論した結果、一足飛びに高度な設備を構築するのではなく、”今よりワンランク、ステップアップしよう”というゴールに落ち着きました」(末崎氏)

そして、ここから同社IT業務改革部による、”ワンランク・ステップアップ”プロジェクトがスタートする。果たしてデータのリストア先として何を選んだのか。当日の講演では、同部の選択したソリューションとその選択理由が詳細に明かされる。BCPをより現実的なものにするために随所に知恵が絞られており、インフラ設計に携わるエンジニアや情シス部門の方々なら大いに参考になる。こうした場でなければなかなか聞けないコニカミノルタの決断、ぜひお見逃しなく。

―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで― 最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」の参加申し込みはこちら(参加費無料、10月30日(木)開催、東京都千代田区、開場13:30~)