岐阜大学は10月21日、クレージング法を用いたナノ多孔ファイバを開発したと発表した。

同大 工学部の武野明義准教授のほか、岐阜県産業技術センター、神谷マテリアル岐阜、ミワマサニット、旭織物、東洋繊維、八木熊などで構成される岐阜大学クレーズナノ多孔ファイバー実用化研究会によるもので、試作品が11月5日から開催予定のメッセナゴヤ2014に出展される予定だという。

クレージングとは、プラスチックが破壊される直前にナノ多孔構造を形成する現象のことをいう。この現象が起こると白化するため、通常は抑制するよう材料設計するが、今回、このクレージングを有効に利用する技術を開発した。クレージングにより生じた領域をクレーズと呼ぶ。

クレージング法によるナノ多孔ファイバの特徴は、繊維のナノ孔が、製造後であっても自由に変更できることにある。これにより、揮発性があったり、熱に弱く添加困難な酵素、ビタミンなどの素材を、物理的に孔に閉じ込められる。さらに、孔の径を変えると、薬剤を放出して外部の水を浸入させないこともできる。また、長期利用や洗濯も可能である。

同技術を繊維製品に応用することで、従来の技術では閉じ込めることが困難だったビタミンCやタンニンを繊維の中に閉じ込め、肌にやさしいシャツや、抗菌・防臭繊維を使った靴下などを作ることが可能になる。そして、その堅ろう性からより長時間効果を持続させることができるとコメントしている。

ナノ多孔ファイバの電子顕微鏡写真。(左)写真の縞状の部分が繊維に生じたクレーズ。(右)クレーズ内部の写真、ナノ多孔構造になっている