アルテックは10月23日、同社が販売するストラタシスの3Dプリンタ「Objet30pro」が、福井県鯖江市の部品メーカーである前澤金型と国立情報学研究所(NII)の合同研究「プライバシーバイザー」の開発において重要な役割を果たしたと発表した。
「プライバシーバイザー」とは、ゴーグル型の眼鏡にLEDを取り付けて人の目には見えない光を顔に当てることで、SNSなどの顔認証検出機能を妨害するプライバシー保護眼鏡。今回の合同研究は、同技術を研究していたNIIの越前功 教授が、3Dプリンタを用いた眼鏡部品の試作研究を行っている前澤金型に共同研究を依頼したことにより実現した。
「Objet30pro」は、Polyjet方式の3Dプリンタで、ハイエンドなラピッドプロトタイプ機に匹敵する精度と多様性、そして設置場所を選ばないという特徴をもつ。前澤金型では試作品づくりや加工シミュレーションなどに同機を導入しており、製作・加工期間の短縮だけでなく、若手エンジニアの技術教育などにも利用するなど、3Dプリンタを活用したものづくりを実践している。
越前教授が検討しているフレーム形状は、市販品にはない特殊な形状をしているため、前澤金型がもつフレームの知見と、任意の形状を素早く製作できる3Dプリンタが試作品の性能評価に大いに役立ったという。また、「Objet 30pro」で試作したプロトタイプは従来より顔検出の妨害効果が高く、越前教授は「短期間にプライバシー保護眼鏡の基本構造設計が確立された」とコメントしている。
なお、10月25日より鯖江市嚮陽会館にて開催される「さばえものづくり博覧会」の前澤金型ブースにて、同研究の成果発表や3Dプリンタによる実演加工が実施される予定。