Oracle データベースサーバー技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデント アンドリュー・メンデルソン氏

日本オラクルは10月21日、Oracle Databaseの保護に特化して設計された初のエンジニアド・システム製品「Zero Data Loss Recovery Appliance」の国内提供を開始した。

同製品は、独自のデータベース統合により、REDOログデータをアプライアンスに継続的に送信し、最新のトランザクションをリアルタイムで保護して、データを失うことなくデータベースのリストアを実現するもの。

米オラクル データベースサーバー技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデント アンドリュー・メンデルソン氏は、「従来のバックアップ装置はデータベースの保護に適しておらず、いくつかの課題を抱えている。Zero Data Loss Recovery Applianceはこうした課題を解決する、データベースに最適な製品」と説明した。

「Zero Data Loss Recovery Appliance」の概要

従来のバックアップ装置が抱える課題とは、「データ損失のリスク」「データベースを正常に復旧できないリスク」「本番環境に負荷をかける毎日のバックアップ・ウィンドウ」「拡張性の欠如」だ。

同製品では、対象のデータベースは差分のみを同製品に転送するため本番環境への影響が最小化され、リアルタイムでREDOログを転送するため、新たなトランザクションを即座に保護でき、データロスを防ぐ。

拡張性としては、コンピューティング・サーバ、ストレージ・サーバをスケールアウトに対応しているほか、InfiniBandにも対応している。フルラック1台当たりの差分取得レートは最大1時間当たり12TB、リストア・レートも最大1時間当たり12TBで、18ラックまで拡張可能。

日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏

日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏は、「現在、データベースのバックアップの手法としてはストレージコピーが一般的だが、データ損失につながるRPO(Recovery Point Objective:(目標復旧時点)に関する対策がなされていない。また、データ破損に対する対策もとられていない。クラウド時代において、RPOは重要になる」と、データベース保護における課題を指摘した。

従来のバックアップソリューションでは、データが破損していてもそのままバックアップしてしまい、障害発生時にリカバリーできなくなるおそれがあるが、同製品は差分取得時にデータの破損を検知し、バックアップデータも定期的にチェックするため、データを失うことなく、データベースをリストアできるという。

同社はデータベースの保護製品として、すでに「Oracle Data Guard」を提供している。メンデルソン氏は、両製品の違いについて「Data Guardはディザスタ・リカバリーを実現する製品で、リモートサイトにレプリカを作成し、スタンバイ・データベースを稼働させておく。Recovery ApplianceはREDOログをバックアップして、それからデータベースをリカバリーする製品」と説明した。

同製品の価格は最小構成で3152万円から(税抜)。

「Zero Data Loss Recovery Appliance」