産業技術総合研究所(産総研)は10月17日、半導体薄膜の電荷の輸送特性やトラップ電荷を評価する手法を開発したと発表した。
同成果は、同所 太陽光発電工学研究センター 先端産業プロセス・低コスト化チームの布村正太主任研究員とミシガン大学 電気工学科のStephen R. Forrest教授(材料科学科、物理学科兼務)によるもの。詳細は、科学誌「Advanced Materials」のオンライン版に掲載された。
有機薄膜太陽電池は、電荷の受け渡しを行うドナー分子とアクセプタ分子が複雑に混ざり合い、発電層内部に自己組織化したナノ構造を形成して高い変換効率が実現する。しかし、発電層内のナノ構造と電荷の輸送との関係はほとんど解明されておらず、変換効率を向上させるための指針を得ることが難しい状況だった。
今回、半導体薄膜の電荷の輸送特性やトラップ電荷を評価する手法を開発したことにより、有機薄膜太陽電池の発電層を評価して、電荷の移動を妨げる輸送障壁の起源がドナー分子とアクセプタ分子の界面や結晶粒界であることを発見した。
この発見により、電荷の輸送特性に優れる発電層を作製することで、より高い変換効率の有機薄膜太陽電池の実現が期待されるとコメントしている。