富士フイルムは10月20日、エボラ出血熱患者への投与拡大に備え、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠200mg(一般名:ファビピラビル)」をエボラ出血熱対策として海外での使用を目的に追加で生産することを決定したと発表した。
同薬品は同社グループの富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬で、エボラウイルスに対して抗ウイルス効果を有するとのマウス実験の結果が公表されており、これまでに、西アフリカから欧州に緊急搬送されたエボラ出血熱患者複数人に対し、緊急対応として投与が行われていた。
これらは、緊急搬送先の政府機関および医療機関から「アビガン錠」提供の要請があり、日本政府と協議の上、対応を行ったものだが、11月中旬よりフランス政府とギニア政府が、ギニアでエボラ出血熱に対する「アビガン錠」の臨床試験を始める予定で、同社では、フランス、ギニア、日本の関連当局と連携し協力していくとしており、同臨床試験で「アビガン錠」のエボラ出血熱に対する効果ならびに安全性が認められた場合、より大規模な臨床使用のための薬剤の提供要請が見込まれることから、さらなる生産拡大を決定したとする。
なお、日本政府は、感染が広がるエボラ出血熱に対して、日本の企業が開発した治療に効果の見込める薬を提供する準備があることを表明しており、同社では日本政府と協議しながら、感染者のいる各国からの要請に応えていくとしている。