現実的なリスクへの備えとして、DR(Disaster Recovery)が企業において喫緊の課題となっている。だが、対策せよと命じられるのにコストのために予算化できず、情報システム部門は苦慮している。そうした中、10月30日(木)に開催される「―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで―最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」と題したデータ保全セミナーにて、基調講演として登壇するアイ・ティ・アール プリンシパル・アナリストの金谷敏尊氏に、DRの高コストパフォーマンスな技術TipsやIT部門の動き方ついて話を伺ったのでその一部を紹介しよう。

―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで― 最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」の参加申し込みはこちら(参加費無料、10月30日(木)開催、東京都千代田区、開場13:30~)

DRは、やれといわれるのに予算がつかないプロジェクト

企業活動は常にチャンスとリスクが表裏一体の関係にある。リスクは回避しなければならないが、その中でも最も対策を講じにくいのがDR、つまり災害対策である。しかし、日本では東日本大震災の記憶も新しく、南海トラフ地震の脅威も目前にある。“念のため”を、現実起こり得る問題として考えなければならない。

今日、企業活動の根幹は情報システムが担っているため、経営トップは当然情報システム部門に対して「DRを施せ」と指示を出す。ただ、これが非常に難しい。

株式会社アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 金谷敏尊氏

「本番システムに何かあってもそっくり代替できる体制を真面目に整えようとすれば、非常にコストがかかります。これができるのは一部の金融機関と非常に公共性の高いビジネスを展開している企業や組織だけでしょう」(金谷氏)

一般的な企業では、そのように“真面目” な計画を提出しても稟議が通らない。予算が適正といえるか判断の拠り所がないために、「費用対効果が明らかでない」と突き返されるのがオチである。金谷氏によると、情報システム構築プロジェクトの中でも、情報セキュリティ対策、制度改正対応、内部統制と並んで、ROIの導きだせない案件の一つがDRなのだという。それゆえに、DRを前にして情報システム部門は頭を抱えるのである。

DR実現で必要な、技術対策とIT部門の“ふるまい方”に言及

しかし、そうした中でも方策はあると金谷氏は語る。本セミナーの基調講演では、単に技術対策だけでは実現できないDRプロジェクトで、情報システム部門が企業の中でどうふるまうべきかを中心に、ビジネスプロセス論にも言及していく。

たとえば、DR計画を予算化する前に現状のシステムの脆弱性を把握し、仮に被災した場合のシステムの停止期間を見積ること。また、それを事業部門や経営トップに提示して、 「だからこのシステムのDRが必要なのだ」と全体合意を得ること。そして、情報システム部門だけで進めるのではなく、組織横断的に周りを巻き込んで企業全体のゴールとして発展させていく動きも不可欠であるという。あるいは、DRプロジェクト単体として立案するのではなく、基幹システム再構築やサーバ仮想化、システムのクラウド移行など、大規模なシステムプロジェクトの一環としてDRを盛り込むのも一法のようだ。

もちろん、ビジネスプロセス論のみならず、この講演は技術的なTipsも豊富に紹介される予定だ。その全容は当日金谷氏が披露するが、話を聞いたこの日、一つだけ明かしてもらった。

「クラウド技術の利用は、DR実現で考慮に入れるべきプランの一つです。DRでは本番システムの拠点とは別に遠隔地バックアップ先を持つことが推奨されていますが、そこでクラウド技術を利用するのです。データセンターによっては、コールドスタンバイ状態なら非常に低額な課金で済むところもあるので、コストにシビアな企業でも予算化しやすいというメリットもあります」(金谷氏)

“下手の考え休むに似たり”ではないが、よい考えが浮かばないまま一人長く考え込むのは時間の無駄だという。10月30日(木)に開催される「―ビックデータ、仮想化/クラウドのデータ保全まで―最新のデータ保護、DRのITプロジェクトの全容と最新の技術」セミナーにて、インフラ構築に精通した金谷氏の知見を得ることで、悩める企業のDRに突破口を見出してみてはいかがだろうか。

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