ルネサス エレクトロニクスは10月15日、電動パワーステアリング(EPS)やブレーキシステムなどのシャシーシステム向けに40nmプロセスを採用した車載用32ビットマイコン「RH850/P1xシリーズ」を製品化し、「RH850/P1M」のサンプル出荷を開始したと発表した。
同製品は、シャシーシステム向けマイコンとして最先端となる40nmプロセスの他、フラッシュメモリに量産実績を多数保有する独自のMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)構造を採用し、高速読み出しや、従来比約半分の低消費電力を実現している。これにより、動作周波数160MHzにおいても標準的なQFPパッケージで展開できるのに加え、コア電圧生成用レギュレータを内蔵し単一電源化できる。
また、高い故障診断率、短い制御周期が要求されるシャシーシステムを想定し、これまでのノウハウを活かした最適な故障診断機能を搭載している。CPUにはロックステップ方式を採用する。さらに、フラッシュメモリに代表される各種メモリに対してはECC(Error Check and Correct)機能によるデータの誤り訂正・検出が可能となっている。加えて、タイマやA/Dコンバータ(ADC)、シリアル通信などの周辺機能にも、システムで診断するための故障検出機能を搭載している。そして、これらの豊富な診断機能に加え、専用の電源管理ICとキットで使用することにより、マイコン外部/内部の電源監視、異常発生時のリセット制御が可能であり、ユーザの開発設計の負担軽減に貢献するとしている。
この他、シャシーシステムのモータ制御性能向上のため、モータ制御用タイマを強化した「TSG3(Timer S Generation 3)」、また、シリアル通信はCANプロトコルエンジンを従来製品から継承し、送受信メッセージバッファ数の拡張や通信バッファの使い易さを改善したRS-CAN、さらに、センサのデジタルインタフェースとして広く採用が進んでいるSENT、PSI5を搭載している。
なお、「RH850/P1M」のサンプル価格は8000円。量産は2016年6月より開始され、月産300万個を計画している。