岡山大学は、半導体工場から排出される化学物質のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)がヨウ化カリウム(KI)と共存すると、オオミジンコに対する毒性が3倍程度強まることが明らかになったと発表した。
同成果は、同大 資源植物科学研究所(IPSR)の森泉准教授、北九州市立大学 国際環境工学部の吉塚和治教授、河野智謙准教授、マレーシア国民大学のサルマン・イナヤット-フセイン教授らによるもの。詳細は、化学系総合学術雑誌「Chemosphere」の2015年2月号に掲載される。
TMAHは、半導体生産過程でエッチング液として大量に利用され、多くは河川などに放出されている。研究グループは、TMAHが水生生態系に及ぼす影響を評価したところ、細菌や藻類に対しては毒性を示さなかったが、オオミジンコやメダカに対しては毒性を示すことを発見した。また、半導体工場では、複数の科学物質を排水処理後に同時に放流することがある。今回の研究では、相乗効果によって、単体の化学物質よりも毒性が強くなることも確認されたという。今後、研究を進めることで、より良い半導体廃液処理技術の開発や化学品管理法、環境保全対策に役立つことが期待されるとコメントしている。