日立造船を主体とする産学連携グループは10月7日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトにおいて、非可食性バイオマスである木本植物の杜仲(トチュウバイオマス)が作り出すバイオトランスポリイソプレンから、耐衝撃性バイオポリマーを開発したと発表した。
日本国内の化学品の大半は、石油由来の原料から製造(国内石油総消費量の約23%)されており、化学産業の炭酸ガス排出量は日本全体の約5%を占めている。現在、地球温暖化問題を解決する手段の1つとして、これら化学品製造の革新的イノベーションの実現が求められており、ゼロエミッション原料である非可食性バイオマスを利用した化学原料への転換が重要な課題となっている。
これに対し、NEDOと日立造船、大阪大学などの産学連携グループは、非可食性バイオマスから最終化学品までの一貫製造プロセスを構築し、非可食性バイオマス原料への転換を図るためのプロジェクトを推進。今回、トチュウバイオマスが作り出すバイオトランスポリイソプレンから、耐衝撃性バイオポリマーの開発に成功した。開発したバイオポリマーは単体で、代表的なバイオ素材であるポリ乳酸(標準品)と比較して26倍の耐衝撃性を発揮するという。
今後、国内成長分野である自動車産業、福祉(介護)用具産業、スポーツ産業向けのバイオ素材としての活用が期待されるとしている。また、研究開発においては、トチュウバイオマスから化学品までの一貫製造プロセスの開発をさらに進め、ベンチスケールによる精製プロセスの実証や出口戦略を見据えた開発として、バイオポリマーと石油由来化学品ポリマーを混合したブレンド材料や無機フィラーを用いた高強度複合材料などの付加価値の高い機能性素材の開発にも取り組んでいくとコメントしている。