早稲田大学は10月7日、都内で会見を開き、小保方晴子氏の博士認定論文に関する研究不正問題について、同氏および関係者への処分を発表した。
会見には同大学の鎌田薫 総長、橋本周二 副総長・学事統括、大野高裕 教務部長の3名が出席した。
この問題は2011年に小保方氏が博士認定論文として提出した論文において、他の論文からの盗用など、数々の致命的な問題があったにもかかわらず、同氏に博士号が授与されてしまったというもの。小保方氏だけでなく、論文の問題を見抜けなかった大学側の責任も問われていた。
小保方氏に対しては、7月17日に提出された調査委員会による調査報告書などに基づいて、10月3日の早稲田大学研究科長会を経て、10月6日付けで、同氏に授与された博士論文の取り消しを決定した。しかし、同大学は自分たちの側にも多大なるミスがあったことを理由に1年間程度の猶予期間を設け、その間に論文指導と研究倫理の再教育を行い、適切に論文が修正された場合は学位を維持できるものとし、これがなされなかった場合に学位を取り消すとのこと。
また、関係職員に対しては、小保方氏の指導および論文の主査を担当した教員に定職1カ月、副査を担当した同大学職員に訓戒処分を下し、総長は役職手当の20%を5カ月分返上するとした。
なお、同大学では現在も不適切な博士学位論文の調査を継続しており、これまでに約700件の確認が終了し、研究の本質的な部分以外での不適切とみなされる箇所のある論文を複数発見した。何年前までの論文を対象としているかと、対象論文の総数については明言を避けた。
鎌田総長によれば、今回の決定は10月6日に弁護士を通して小保方氏に伝えたが、同氏からは現時点で何も聞いていないという。調査委員会は今回の問題は学位取り消しには当たらないとの見解を7月に発表していたが、同大学はこれを覆す結論を出したことになる。