スマートフォンが全体的に大画面化の傾向にある中、iPhoneにも5.5インチモデルが登場した。タブレットとの境界付近に存在していたニーズがスマートフォン側に取り込まれることにより、個人向けのタブレット市場はある程度までスマートフォンに奪われることになりそうだが、ビジネスユースではちょっと事情が違うようだ。

ビジネスの現場でiPadが活用されている

IDC Japanの調査によると、2014年1~3月期の国内タブレット端末出荷台数は、前年同期比12.3%増の212万台。営業ツールや顧客向けのプレゼンツールとして、またワークフロー管理や業務システムの一部、さらに店頭の接客ツールやレジ端末としてなど、ビジネスの現場では多彩な業種でiPadが導入され、活用される機会が増えている。

ビジネスユースにおけるタブレットの利点は、ノートPCよりも導入コストが低く抑えられ、持ち運びの負荷やバッテリー性能、通信など各種設定などに関しても現場の利用者にとってノートPCよりも扱いが容易であること。また、セルラー版ならデータ通信端末を別途用意することなく通信が可能で、情報共有・更新にも柔軟に対応できる。余裕のある画面サイズで入力や情報一覧もストレスなく行え、書き込むための筆記具を持たなくて良いなど、ちょっとしたことも作業現場としては効率向上につながる。

こうした利点は、広い工場や複数拠点を持つ企業での事例ばかりでなく、数人~十数人程度のスモールビジネスにとっても業務への導入による改善効果が期待ができるものだ。むしろ、中小規模の事業所こそ速やかに成果が現れるケースが多いのではないだろうか。受注・発注や各種申請許可、業務記録、勤怠管理などを紙で行っているなら、あるいはデジタル化しても個別にExcel等のシートで管理している状態なら、それらをデータベース化し、iPadを入力端末として利用することで、大幅な効率改善や管理の正確さ向上が実現できるはずだ。

業務用途でiPadを活用したデータベース運用を考えるなら、選択肢に入ってくるのがFileMakerだ。FileMakerは30年近い歴史を持つデータベースソフトの定番。現在の最新版は昨年末にリリースされた「FileMaker Pro 13」と組み合わせて、iOSデバイス向けのアプリ「FileMaker Go」、複数端末からの同時接続を可能にする「FileMaker Server」を使うことで、個人規模から企業の業務システムまるごとまで、様々なスケールに応じて柔軟なデータの活用に対応することが可能だ。FileMakerは導入の手軽さとその後の柔軟な拡張性が、運用を考えた時の利点と言える。

まずは小規模な導入から試してみては

例えば、小売店などが紙ベースで棚卸しを行う場合、コピー用紙にチェック用の表をプリントし、倉庫内で商品の数を数えながら、クリップボードに挟んだ紙にペンで数を書き込んでいく。チェックが済んだら紙に書き込んだ内容をPCに入力し、集計するという流れになる。これをFileMaker+iPadにすれば、商品の数を数えてiPad上のフォームに入力するだけで、サーバ上にデータが集まり集計までの作業が完了する。また、アパレルの分野では、iPadのカメラで商品写真の撮影とバーコードのスキャンを行うことで照合し、POSと連動させることで、ペーパーレスでリアルタイムの在庫管理を行っている事例もある。こうした様々な業種における活用事例は[ FileMakerのWebサイト]でも紹介されている。

また、現在データ入力に使用しているExcelドキュメントがあれば、それをFileMakerに取り込み、豊富なデザインテンプレートから入力フォームを作成して、簡単にデータベース化ができる。既存のデータを引き継いだ活用も容易だ。最新版のFileMakerは、フォームのデザインパーツとしてiOSに最適化されたボタンや選択肢などが用意されており、PCの操作に不慣れな人にとっても使いやすいインタフェース作りに役立つ。

このように、紙で行っているワークフローをデジタル化する場合にも、既存のデータをより様々な形で活用したい場合にも、FileMakerとiPadという組み合わせの相乗効果による大きな成果が期待できる。

App Store上では昨年10月の段階で47万5000本以上のiPad用アプリが提供されているが、ビジネス用途となると業務内容にぴったりのものを探し当てることは難しい。カスタマイズできる部分は限られるし、複数端末でのデータ共有や一元管理に適さないものもある。かといって専用に開発するには専門知識が必要で、外注すればコストもかかり、使うためにはアップルの審査も必要だ。すぐに使い始められ、機能改善やスケールに柔軟性のある運用を目指すなら、アプリよりもFileMakerでデータベースを扱う方が利点が多いと考えられる。

企業向けのiPad導入ソリューションを提供している会社もあるが、FileMakerは部署やプロジェクト単位や現行のワークフローの一部分にのみ導入するといった小回りがきくことも特徴だ。FileMaker Pro 13は無料で一ヶ月間の体験利用が可能で、1ライセンス分のFileMaker Goとの連携もテストできる。もし、手書きの書類をPCに入力し直す作業や、頻繁にExcelシートをプリントして使うシチュエーションが身近にあるなら、まずはそれをFileMaker+iPadに置き換えてみてはいかがだろうか。

「FileMaker選手権2014」開催
マイナビニュースでは、ファイルメーカー社のデータベースソフト「FileMaker Pro」で作成したテンプレートから、優れた作品を決めるコンテスト「FileMaker選手権2014」を開催中です(エントリー期間は2014年11月3日まで)。

応募作品の中から金、銀、銅賞の受賞者には、MacBook Proなど豪華賞品が授与されます。さらに、審査員による「審査員特別賞」や読者投票による「読者投票賞」、学生向けの「学生賞」なども用意。今までFileMakerを触ったことのない人も、現在バリバリ使っている人も、誰でも応募可能です。また、投稿していただいた作品は、誰でもダウンロードすることができます。

皆様のご応募ご参加をお待ちしております。