米eBayは9月30日(米国時間)、子会社PayPalを独立した公開企業としてスピンオフする計画を発表した。必要な手続きを経て、2015年前半にeBay、PayPalと分かれて再スタートする。
今回の分社化は、取締役会が成長戦略と組織構造をレビューした結果、決まった。これにより、eBayとPayPalは2社の公開企業として再出発し、コマース(eBay)と決済(PayPal)、それぞれの分野で成長の機会を活用し、新しい市場や提携を模索するという。
eBayは声明文で、「競争の状況が変化しており、eBayとPayPal、それぞれに大きなチャンスが生まれている。分社化によって、戦略フォーカスを図ることができる」と述べている。決済分野では9月初め、米Appleが「Apple Pay」としてモバイル決済に進出することを発表、これにより決済業界に変化が起こると予想する向きもある。
分社後、2社はそれぞれ新たなCEOが率いる。eBayのCEOには現在eBay Marketplaceトップを務めるDevin Wenig氏が就任し、PayPalのCEOはAmerican ExpressからDan Schulman氏を迎え入れる。Schulman氏はVirgin Mobile、AT&Tなどテレコム分野の幹部を歴任後、Amexでエンタープライズグロースグループとして新しい決済事業を開拓した。同氏は同日よりPayPalの社長に就任した。
現在eBayの社長兼CEOを務めるJohn Donahoe氏は、分社までのプロセスを率いた後に執行職から退き、eBayまたはPayPalの取締役に就任する予定。
PayPalのスピンオフはもの言う投資家として知られるCarl Icahn氏が、今年に入り主張していた。Icahn氏は約2.5%のeBay株式を保有すると言われている。
eBayは2012年に約15億ドルでPayPalを買収、以来PayPalはeBay子会社として運営されてきた。eBayは1億4900人のアクティブユーザーを抱え、常時7億点以上の商品がリストされているという。PayPalは1億5200万人以上のアクティブな登録ユーザーを持ち、この1年で取引は19%増加し約72億ドル規模に達しているという。