日立製作所は9月30日、トヨタ自動車研究開発センター(中国)有限会社(以下、TMEC)が同社のSaaS型業務支援サービス「TWX-21」を採用したと発表した。

TMECと現地生産拠点、複数サプライヤー(仕入れ先)間において、効率的にインターネット上で調達・物流の取引環境を実現するシステムを開発。TWX-21基盤上でサービスを提供する。

今回導入したシステムの概要図。TMECの中国向け試作車の部品調達やサプライヤーとの納期調整といった煩雑な調達業務の負荷を軽減する

トヨタ自動車の中国市場向け自動車開発拠点であるTMECは、中国生産車の現地量産に向けて試作開発車用の部品調達を管理している。日本のトヨタ自動車の試作・開発ニーズに基づいた部品の発注情報を中国国内9か所の生産拠点に展開。各生産拠点から中国現地の約1000社のサプライヤーに部品を発注するとともに、調達した部品を試作車の組み立てを行う日本へ輸出するなど、一連の試作車開発に向けた調達業務の管理を担っている。

従来TMECでは、注文データの作成から発注、納期回答、出荷までの一連の調達業務を、Microsoft Excelや電子メール、電話を使って、人手により進捗管理や状況把握を行っていた。そこで年々増加する発注量に伴い、各工程での作業遅延が発生。発注業務全体をシステム化し、業務の流れを見える化することで、多拠点にまたがるサプライチェーン全体の情報管理や進捗管理のための仕組みを検討していた。

今回提供するサービスは、TMECや9つの生産拠点、サプライヤー各社、物流会社において行われる一連の調達と物流に関する業務プロセスを、ブラウザ経由で管理できるというもの。生産拠点やサプライヤー各社、物流会社などがアクセス権限に応じてサービスを利用でき、サプライチェーン全体の「見える化」を実現する。

TMECでは、進捗把握にかかる時間が従来比の約20分の1まで低減するなど、部品の発注や進捗管理などの業務負荷を軽減。現地量産に向けた品質管理など、本業に専念できるようになったという。現在は同サービスを約400社のサプライヤー間における調達業務に利用しており、今後、サプライヤー約1000社へ利用を拡大していく予定としている。