東京は京都に並び、海外からの観光客が多い都市。日本の伝統を感じさせる地域はもちろんですが、最近は秋葉原や銀座などでもツアー客とおぼしき外国人グループを見かけることが増えました。「海外からの観光客に人気の場所ベスト5」的な記事はよく見かけますが、「日本らしさ」という点ではどうでしょうか。
日本在住の外国人20名に、「浅草、秋葉原、池袋、東京駅(丸の内)、六本木、お台場、銀座」などのエリアを示し「東京都内で"ここが最も日本らしい"と感じる場所は?」と質問してみました。
■浅草(トルコ/30代前半/女性)
■浅草(タイ/30代後半/女性)
■浅草(ドイツ/40代前半/女性)
■浅草はとても日本らしいと思います。(中国/20代後半/女性)
■浅草だと思います。(チュニジア/40代後半/男性)
■浅草(台湾/40代前半/男性)
■浅草(スペイン/30代後半/男性)
■浅草の浅草寺(アメリカ/20代後半/男性)
■浅草の雷門(ペルー/30代前半/男性)
■浅草(ブラジル/20代後半/男性)
■浅草がもっとも日本らしいです(マレーシア/30代前半/男性)
■浅草(ベトナム/30代前半/女性)
■浅草(スウェーデン/40代後半/女性)
複数項目を挙げた回答者も合わせると、約7割の人が浅草を選びました。伝統的な寺社仏閣が日本らしさに繋がるのでしょうね。古くから浅草寺の門前町として栄え、奈良時代にはもうその記述が残っているほどの由緒がある土地。日本建築の代表的な寺社仏閣の浅草寺や提灯などがある雷門など、いわゆるアイコン的な建物やしつらえも日本らしさを強めていると言えます。周辺の商店街のつくりや天丼などの和食専門店、人力車の存在、演芸場など下町情緒を感じさせる雰囲気も理由のひとつと言えそうです。
それだけに、「浅草もの」の先駆的作品である川端康成「浅草紅団」、マンガ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、ドラマ「タイガー&ドラゴン」、映画「海の若大将」など、さまざまな作品の舞台ともなっています
■浅草、お台場と秋葉原(アルゼンチン/30代前半/男性)
■浅草とお台場(ロシア/20代前半/女性)
伝統的な浅草に近未来感のあるお台場を合わせた複数回答。港区台場、品川区東八潮、江東区青海の一部を指します。古くは江戸時代のペリー来航時に品川台場(品海砲台)が建設された場所であり、「お台場」という名称は幕府に敬意を払って「御」をつけて呼んだことが由来だそう。
平成に入ってからは、東京臨海副都心としてレインボーブリッジの建設や臨海副都心線の設置などの開発が進みました。そして、1997年にフジテレビが移転して以降、ホテルや大型商業施設が集合し、都内の一大アミューズメント地帯として認知されるように。現代の日本を感じさせる場ということでの回答なのでしょう。映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』やアニメ「機動警察パトレイバー」、ドラマ「西部警察」のスタントシーンなど刑事物、戦隊物に登場することが多く、こうした作品では湾岸のイメージが最大限に活用されています。
■日本と言えば、電化製品なので秋葉原です。(フィリピン/40代前半/女性)
■秋葉原(韓国/40代後半/男性)
昨今では「アキバ」として世界的な認知度を誇る地域。具体的には、秋葉原駅周辺、千代田区の外神田から神田佐久間町、台東区秋葉原を指します。
電子機器や家電、ジャンク品、無線機器などを扱う電気街として発展、80年代のファミコンブームでゲームショップが増え、それに付随してホビーショップやアニメショップも増えました。2005年頃にはアニメ・ゲームショップに集まるコア層を「アキバ系」と呼ぶようになり、サブカルチャーの街としての認知度も向上し、アキバ系の男性が主人公の大型掲示板「2ちゃんねる」発コンテンツ「電車男」が、マンガや映画として制作されたほどです。しかし、回答にもあるように「秋葉原といえば電気用品」という印象も未だに強く、炊飯器などの白物家電を求めるアジア系観光客を見かけることが多い地域です。
■渋谷、池袋、新宿(イギリス/20代前半/女性)
■渋谷(イスラエル/30代後半/女性)
■池袋(オーストラリア/40代前半/男性)
20~30代女性がファッションの街・渋谷を挙げているのが興味深いですね。今回は選択肢にありませんが、あれば原宿も入れていたかも!? 原宿ほど東京ファッションのイメージはないにせよ、ギャル系の聖地「109」や東コレ系の「渋谷PARCO」、エッジなクラブ系の「FAKE TOKYO」など、若者向けの最先端ファッションを見ることができる地域です。渋谷駅前交差点のラッシュは、働き者の日本を象徴する光景として認識されている場所でもあります。
ビックカメラ本店やヤマダデンキ総本店などがある池袋は、秋葉原ほどではないものの、家電量販店の集まる地帯という印象でしょうか。その一方で、最近ではアニメイト本店を中心として、女性向けアニメ・漫画を扱う専門店が集う「乙女ロード」の印象も強く、若い女性でサブカルチャー系に興味がある方には日本らしさのある場所として認知されていそうです。
海外から見た「日本らしさ」は、国内にいる日本人には意外とわからないもの。オーソドックスな観光地は想像できても「こんな所が!?」という場所に人気がある場合もあります。東京メトロなどでは都内各地の駅ごとにおすすめスポットを詳しく紹介していますが、あらためて自分の足で各地域を歩いてみるのもよいかも。新たな発見があるかもしれません。