オンラインショッピングなどのECサイトにおいて、流入したユーザの離脱を防ぎコンバージョンをアップさせるソリューション群を「VePlatform」として提供する英Ve Interactive。その日本法人となるVe Japanは9月26日、VePlatformの日本国内における本格的なサービス展開を開始すると発表した。

2009年に設立されたVe Interactiveが提供するVePlatformは、グローバルで4500社以上に導入され、また顧客の維持率も高いという。日本法人のVe Japanは2月に設立。6月から営業を開始し、すでに10社が導入、30社が導入を進めている。

VePlatformは、おもにオンラインショッピングなどのECサイトにおいて、サイトに訪れたユーザの離脱を防ぐソリューションや離脱したユーザへのリターゲティングといったソリューションを提供している。

たとえば、購入画面の手続き中に離脱してしまったユーザに対して、入力されたメールアドレス宛に45分後や1日後といった任意のタイミングで手続きの完了を促すメールを自動配信する「VeContact」。流入したユーザがサイトから離脱しようとした際にブラウザ上にポップアップ画面を表示し、キャンペーン情報やサイトに訪れた検索ワードを利用して類似商品などをレコメンドする「VeAssist」。同様にユーザが離脱しようとした際に、購入に関する質問などに回答して購入をサポートする人工知能チャット「VeChat」。サイトから離脱してしまったユーザをリターゲティングディスプレイ広告で再訪を促す「VeGenie」。そして、これらのアプリのベースとなるデータ分析などを行う「VeInsights」などがある。

VePlatformはオンラインショッピングサイトや、旅行や不動産などといったカタログサイトに向いたソリューションとなるが、この他にも会員登録や資料請求といった何かしらのコンバージョンがあるサービスに特化している。

サービス導入は、1行のjavascriptタグをサイトに設置し、さらにコンバージョン確認用のイメージタグをコンバージョン完了ページに設置するだけと非常に簡単に利用を始められる。

また、費用についても初期費用や月額固定費などは不要で、コンバージョンがあった際に、その1件1件に対して費用が発生する成果報酬型となっている。報酬額は、たとえば、オンラインショッピングサイトでアフィリエイトを行っている場合には、それと同程度の料率が目安になるという。

VeGenieのようにサイト外でリターゲティングディスプレイ広告を出稿する場合の出稿主はVe Japanとなる。これについては、上記のアフィリエイトと同程度の報酬に料金が加算されることになり、相談ベースでの料金体系となる。ただし、こちらもコンバージョンによる成果報酬型であることは同じだ。なお、国内においては、当初はGoogleとマイクロソフトのディスプレイネットワークを利用するという。VeGenieはVePlatoformの一部の機能だが、これについてはCriteoなどが提供するリターゲティング商品が、競合するイメージとしてわかりやすい。

なお、コンバージョンには直接関係ないデータ分析やサイト改善を行うVeInsightsなどは、実質として無料での利用となる。Ve Japanとしては、これらに機能によってコンバージョンが上がれば費用を回収できるという考えだ。

同社による一般的にECサイトの傾向として、サイトに流入したうちの40%が1ページだけ見て離脱してしまうという。また、35%はカートに何も入れずに離脱、15%はカートに商品を入れたものの購入手続きに進まずに離脱、購入手続き中の離脱も6%となっており、購入完了に至るコンバージョンレートはおおよそ2%になるとしている。つまり98%のユーザに関しては、カートに商品を入れたユーザもいるのに関わらず、コンバージョンに至ってないことになる。

Ve Interactive社による一般的なECサイトパフォーマンス。コンバージョンは2%程度となっており、98%はコンバージョンせずにサイトから離脱する

離脱の種類に応じてVePlatformの各ソリューションが最適化を行う

このような中でコンバージョン件数(売上)を上げるために、広告などを利用して来訪者数を増やすことは費用を増大させるだけになりかねない。もちろん、そのようなことを行うマーケターは少なく、それぞれにバウンスレートの高いページを洗い出し改善を行ったり、レコメンド商品を出したり、リターゲティング広告を利用したりといった施策を行っている。

VePlatformは98%のサイト離脱者に対して、単一のプラットフォームで、それぞれの離脱タイプに応じた対策を行い、ユーザのコンバージョンを上げることに注力している。また、成果報酬型というのもその特徴となっている。サイト集客には一定の手応えを感じつつも、コンバージョンに課題がある場合には、VePlatformをその解決のひとつの手段として検討するのもありだろう。同社による数字だが、VePlatformの導入によって「概ね15%以上のコンバージョン率上昇を実現」しているという。

コンバージョンレートを上げると期待されるVePlatformだが、一方で、ECサイトそのものへの集客は別問題だ。サイト自体の集客に課題がある場合には、また別の施策が必要となるだろう。

1行のタグによる簡単な導入、成果報酬型による費用と導入企業にとってはハードルが低いソリューションだが、肝心なのはコンバージョンが上がるかどうか。グローバルでの成功を、日本市場においても実現できるかだが、Ve Interactiveは「日本企業の成長に貢献したい」と自信を語った。

英国大使館で行われた日本でのサービスローンチ発表会。左からVe Japan マーケット開発ディレクター 石黒 智基氏、同 CEO Tomas Olsson氏、Ve Interactive CEO David J Brown氏、Ve Japan デジタルコンサルタント 澤野 啓次郎氏