9月24日、大手企業とベンチャー企業のマッチングイベント「第2回TOKYOイノベーションリーダーズサミット」が東京・虎ノ門で実施された。このイベントの中では「ベンチャーと大企業連携による破壊的イノベーション」と題してセッションが開催され、3組の大手企業とベンチャーのコラボが紹介された。
紹介されたのは、「スタンドフォーム×弥生」、「Origami×三越伊勢丹ホールディングス」、「gumi×セガネットワークス」という3組の業務提携。
「スタンドフォーム×弥生」
スタンドフォームは名古屋にあるベンチャーで、請求書、見積り書、納品書管理サービス「Misoka」を無料で提供する。請求書の郵送代行も行っており、このサービスが好調で、多くの会社に利用されているという。
同社は今回、弥生と提携し、弥生が今年の7月に発表した「YAYOI SMART CONNECT」を利用して、Misokaのデータを弥生会計に取り込み可能とする。
ただ、弥生も「やよいの見積・納品・請求書」というデスクトップアプリを提供しており、スタンドフォームはある意味弥生の競合でもある。では、なぜ弥生は競合相手と手を組んだのか? その理由を、弥生 代表取締役社長の岡本浩一郎氏は次のように説明する。
「一言でいえば時間だ。我々はどうしたら何10%成長できるかを考えているが、ベンチャーの方はどうやって何倍にするかを考えており、視点がまったく違う。現在、いろいろなテクノロジーが出てきている中で、我々だけですべてをカバーすることはできない。やはり、コア技術を持ったベンチャーと組んでいくべきだ」(岡本氏)
一方、スタンドフォーム 代表取締役 豊吉隆一郎氏は、「うちは弥生さんの真似をしているように見えるかもしれないが、私がやっているのは、弥生さんとはまったく同じではなく、未来にあるべきビジネスプロセスを自分たちのエンジニアリングの力で実現しようとしている。我々は見積書に紙は必要ないと思っているが、弥生さんにはすでに顧客もあり、来年から紙を無くすとは言えない。我々は大きなリスクを取って、小さな未来にかけている。そこにベンチャーの価値があると思っている」と語った。
岡本社長も「スタンドフォームさんが、我々が追いつけない先をいっている間は価値がある。ただ、今のポジションのまま留まっているのでれば、我々自身がそれをやっていく」と述べた。
Origami×三越伊勢丹ホールディングス
Origamiは、次世代のコマースプラットフォームの開発およびコマースサービス「Origami」の企画・運営を行っているベンチャーで、同社は10月に三越伊勢丹ホールディングスと業務提携した。
Origami バイスプレジデントの伏見慎剛氏は業務提携した理由を、「Origamiは、ソーシャルショッピングといわれる衝動買いを誘発するようなビジネスモデルとなっているが、レバレッジをかけていくために、三越伊勢丹ホールディングスさんと業務提携した」と説明。
三越伊勢丹ホールディングス マネージャーの北側竜也氏は、「世の中のテクノロジーが進んでいく中で、人々は好むと好まざるとに係わらず、当たり前のようにスマートデバイスにアクセスしている。これに対応するために、社内で人を集めようとしても、ベンチャーのように専門家を集めることはできない」と、ベンチャーと提携した理由を解説した。
また同氏は、どのベンチャーと組んだらいいのかについて「ソーシャルコマースをやっている会社は世の中に数百社あるが、その中から会社を選ぶのではなく、我々がやりたいことに対して、一緒に組んで、一緒に成長していけるはどこかという視点で選んだほうがよい」とアドバイスした。
gumi×セガネットワークス
セガネットワークスは、モバイルオンラインゲームを開発販売するgumiと業務提携、セガネットワークスが日本国内で展開する複数タイトルを、すでに海外で実績があるgumiが現地言語に翻訳後、北米、ヨーロッパ、東南アジア等で順次サービス提供する。
競合であるgumiと提携した理由を、セガネットワークス代表取締役社長 CEOの里見治紀氏は「セガネットワークスは、GREEやDeNAが急成長したソーシャルゲームの波に乗れなかった。お金、人もあるセガがなぜ負けたのかを考えたとき、要因はスピードだった」と説明。
gumi 代表取締役社長の国光宏尚氏は、大手企業にとってのベンチャーの価値について、「大手であればあるほど、破壊的なイノベーションを自分たちでやるのは無理だ。その部分でうまくベンチャーを活用していくのがいいでのはないか。ベンチャーがリスクを取ることで、両者がうまく共存していける」と解説した。