Texas Instruments(TI)は9月18日、産業機器のモニタリング/制御システムのサイズ低減を可能にするSAR型(逐次比較型)A/Dコンバータ(ADC)の新製品「ADS7042」と新ファミリ「ADS8354」を発表した。
「ADS7042」は、小型で低消費電力の12ビットSAR型ADCである。サンプリングレートが1MSPSで、消費電力は最大サンプリングレート動作時に690μWを実現している。さらに、低速動作では、1kSPS動作時に1μW未満まで消費電力を低減できることから、低消費電力のシステム、リモートモニタリングやエネルギーハーベストなどのアプリケーションに加え、スペースに制約のあるモータ制御、計量、携帯型医療機器、HDD、コンピュータ周辺機器、ウェアラブルフィットネス機器やスマートフォンなどの民生機器にも最適となっている。また、1.5mm角のQFNパッケージを採用しており、従来品に比べてサイズを44%低減している他、消費電力を従来比で52%低減している。さらに、シンプルなシリアルペリフェラルインタフェースにより、1MSPSのスループットを16MHzの従来品よりも67%低いクロックで動作する。この他、同社の「MSP430」などの低消費電力マイコンやプロセッサとのシームレスな接続が可能となっている。
「ADS8354」は2チャネルのADCファミリであり、業界最小の14/16ビットの同時サンプリングSAR型ADCが含まれている。レイテンシがなく、個別制御が可能な2つの内部リファレンス電圧を提供することから、モータ制御、DC負荷制御、光ネットワーキング、電力品質管理、産業用オートメーションやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)などの産業機器に最適化されている。また、3mm角のQFNパッケージに、個別プログラム可能な2個の電圧リファレンスを内蔵し、チャネルごとに独立したフルスケールレンジを実現する。これにより、外付けの信号コンディショニング回路の必要性が減少し、システムの基板面積を低減、機器の小型化が図れる。さらに、12/14/16ビットの分解能、600kSPS~2MSPSの1チャネルあたりのサンプリングレート、シングルエンドまたは差動入力のオプションを提供する11品種をラインナップすることにより、産業用システムのニーズに対応したアナログシグナルチェーンのカスタム化が容易になる。そして、シンプルで設定可能な18MHzまたは32MHzのクロックにより、レイテンシのない高速なモータ制御を実現する。
なお、価格は「ADS7042」が1000個受注時で2.10ドル、「ADS8354」ファミリは、16ビット 750kSPS 擬似差動入力の「ADS8350」が同8.00ドルとなっている。