産業技術総合研究所(産総研)は9月18日、灯油の30%相当をアンモニアに置き換えた状態で混焼し、21kWのガスタービン発電に成功したと発表した。

同成果は、同所 再生可能エネルギー研究センター 水素キャリアチームの辻村拓研究チーム長、壹岐典彦研究チーム付らによるもの。総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「エネルギーキャリア」の委託研究において、東北大学と共同で行われた。詳細は、9月21~24日に米国アイオワ州デモインで開催される「NH3 Fuel Conference」にて発表される。

アンモニアは、水素含有量の多い水素キャリアとして期待されているが、今回、灯油(液体)とアンモニア(気体)を混合供給できる燃焼装置を試作して、アンモニアを燃焼しガスタービン発電に成功した。これは、アンモニアのエネルギー利用技術の大きな進展であり、100%アンモニアの燃焼による発電が期待されるとコメントしている。今後、引き続きアンモニア比率を増加させた灯油-アンモニア混焼、天然ガス-アンモニア混焼やアンモニア専焼(CO2、すすフリー)での実証実験を予定している。

アンモニア直接燃焼マイクロガスタービン発電装置。まず、灯油だけを供給してガスタービンを起動し、安定に21kWの発電を開始した後、気体燃料を供給するガス配管に窒素-アンモニア混合ガスを供給してアンモニアの燃焼を開始し、徐々にアンモニアの比率を上げ、最終的には窒素供給を止めて、灯油-アンモニア混焼を実現した。発電出力を一定に制御する運転を行ったところ、アンモニア燃焼による発熱量分だけ、灯油の供給量を削減することができ、灯油の供給量を30%削減した状態で21kWの発電出力を安定に維持したとしている

ガスタービンへの燃料供給と発電出力の変化