東京都・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは、現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界的に注目を集める建築家、ザハ・ハディドの個展を開催する。開催期間は10月18日~12月23日、開場時間は11:00~19:00(金・土は20:00まで)。入場料は一般1,200円、大・高生1,000円、中学生以下は無料。

「ヘイダル・アリエフ・センター」バクー 2007-2012 竣工 photo: Iwan Baan (c)Zaha Hadid Architects

「ムーンスーン・レストラン(内装)」札幌 1989-1990 完成 photo: Paul Warchol (c)Zaha Hadid Architects

ザハ・ハディド photo: Brigitte Lacombe (c)Zaha Hadid Architects

同展は、ザハ・ハディドのこれまでの作品から現在の仕事までを紹介するもので、日本では初の大規模個展となる。前衛的すぎる設計によって計画が途中で中止となり、なかなか実作に恵まれなかった"アンビルトの時代"に精力的に描いたペインティングやドローイング、世界各地で建てられるようになった実作の設計、スケールを横断するプロダクトデザインなどを、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションとして展開する。 これまで、「新国立競技場」の建築計画をめぐってさまざまな議論が沸き起こりつつも、設計者であるザハに関する情報は限られていた。今回の個展は、鑑賞者それぞれの視点でザハの建築を体験し、その思想に触れる機会となる。

なお、ザハ・ハディドは1950年バグダッド生まれ、ロンドン在住の建築家。1980年に自身の事務所を設立。1983年、「ザ・ピーク」の国際コンペティションで勝利し、そのコンセプトとともにザハの名は一躍世界に知られることになるも、このプロジェクトをはじめ、ザハの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、独立後10年以上にわたって実際に建てられることはなく、長らく「アンビルトの女王」(アンビルト=建設されない)の異名を与えられていた。1993年、「ヴィトラ社消防所」が初めての実現プロジェクトとなって以降は大規模なコンペティションで次々に勝利を重ね、かつ実際に建てられるようになった。そして、「新国立競技場」国際デザインコンクール最優秀賞に選出され、日本でもザハ作品の建設が実現する。