SAPジャパンは9月18日、今年7月に代表取締役社長に就任した福田譲氏の会見を行った。同氏は、抱負とともに、それを実現するための施策について説明を行った。
同氏は1997年4月に新卒で同社に入社した後、特定戦略顧客、流通・サービス業、通信・メディア業、プロセス製造業等の営業部門長を歴任した後、現職に就いた。
初めに、「『変革』を志すすべての人のパートナーであり続ける」「『会社を変える』から『社会も変える』」という2つの抱負について説明がなされた。
「これまでも長らく、同社の顧客は変革を志す企業だったが、今後も変わらない」と同氏。今後は、「Globalization」「Transformation」「Innovation」を軸に、さらに企業の変革を支援していくという。
同氏は「現在の企業のGlobalizationは、質、深さ、本気度いずれにおいても10年前と違う。"世界で勝ちたい"、"世界クラスの競争力をつけたい"といった企業をサポートできる力を付けたい」と語った。
また、「会社を変える」「社会も変える」ということについては、次のように説明した。
「われわれのERPは世界の多くの企業に導入されているが、どれもスタンドアロンで使われている状態にある。これを連携させたり、クラウドに乗せたりして繋げることで、とてつもない可能性を秘めている。ERPとクラウドと他の業務システムを連携することは、すでに技術的に可能。われわれは、こうしたことを実現するための規模の基盤の構築を進めている」
次に、同氏は今後着手していく施策について、「SAPジャパンのGlobalization」「Globalインダストリービジネスユニット」「ERPへの再フォーカス」「Platform/Technology」「Cloud」という5つの観点から述べた。
同氏によると、顧客から「SAPジャパンは販社であり、私たちはSAPと付き合っている」と言われることがあり、また、そうした気持ちをもっている社員もいるという。加えて、顧客からは「世界で事例を持っているなら、日本でもそれを実装してほしい」といった要望を受けるとのことだ。
こうした背景を踏まえ、同社はグローバルでの人材交流を積極的に行っていく。「これまで、海外から日本に来る社員はマネジメントの人材が多かったが、今後は技術や実装を担当する人材も海外から呼ぶ。日本からも海外への異動を進める」と同氏。
すでに取り掛かっている施策が「Globalインダストリービジネスユニット」の構築だ。公益、自動車、保険の3つのインダストリーで選考して取り組みが行われている。3つのインダストリーのうち、公益における取り組みが最も進んでいるという。
この「Globalインダストリービジネスユニット」の構築は、ERPへの再フォーカスの施策にもなっている。日本には同社のERPを知りながら導入していない企業がまだあるため、そうした企業の同社製品の導入の障壁を取り払うための策というわけだ。
「Platform/Technology」については、ERP関連市場とプラットフォームとに分けて取り組みを進める。ERP関連市場については、同社がエンド・ツー・エンドで提供することを目指し、プラットフォームについては、日本の文化に適したアプリケーションを提供するため、パートナーと連携や共同開発を行っていく。
同氏は「日本企業に必要とされる企業でありたい」としたうえで、日本企業のニーズを的確に汲み取り、同社のビジネスを拡大していく姿勢をアピールした。