岡山大学は9月17日、生後18カ月以内の小児の片眼性先天白内障に対して実施される眼内レンズ挿入の手術につ、その安全性を確認し、術後経過も良いことを確認したと発表した。
同成果は、同大大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野の松尾俊彦 准教授らによるもの。詳細は米国オンライン科学雑誌「Springer Plus」に掲載された。
先天白内障は、生まれつき眼の中の水晶体(レンズ)が濁っている疾患で、治療によりできるだけ早く網膜にきれいな像が映るようにしないと、脳の神経回路が未発達のままとなり、弱視の原因となってしまう。
これまでも大人の白内障手術と同じように眼内レンズを入れる手術は、2歳以上の小児に対して行われているが、生後18カ月以内の小児の先天白内障手術で眼内レンズを入れることについては、まだ共通の認識には至っていないのが現状だという。
同大では2005年より、最新の硝子体手術機器を導入し、その機器を白内障の手術にも活用しており、小児の先天白内障に対しても、小さな切開創で行う手術を行ってきたとのことで、今回、研究グループの研究から、18カ月以内の小児の片眼性の先天白内障に対する眼内レンズを入れる手術が安全で、かつ術後経過も良いことが示されたとしている。
なお、特に生後12カ月以内の片眼性先天白内障では、術前検査では分からないような軽微な硝子体血管異常(胎生期血管遺残)が白内障の原因になっていることも判明したとのことで、これらの成果は、片眼性先天白内障治療に対する新たな知見となることから、今後の眼科医療に貢献することが期待されると研究グループではコメントしている。