東芝は、4G LTE-Advanced対応スマートフォン向けに、世界最小レベルで挿入損失と出力信号に現れる不要な周波数成分を低減した高周波アンテナスイッチ「SP12T」を発表した。

モバイル通信の普及に伴う無線帯域の多バンド化や、データ通信速度の高速化に伴い、モバイル端末の高周波回路部に使用されるアンテナスイッチでは、多ポート化対応や挿入損失、歪などの高周波特性の改善が求められている。また、新興国におけるスマートフォン需要の増加に対応するため、これらの機能性能の改善をコスト効率の優れた方法で実現することが求められている。今回、このような要求に応えるため、独自の高周波スイッチ用SOI(Silicon On Insulator)プロセスである「TarfSOI(Toshiba advanced RF SOI)」の高性能化を進め、新世代のSOIプロセス「TaRF6」を開発した。「TarfSOI」は、アナログ/デジタル/高周波回路を1チップに集積することが可能であり、これまで高周波スイッチに用いられていたGaAsなどの他のソリューションに比べて、求められる機能や性能をコスト効率に優れた方法で実現できるソリューションである。

今回の「TaRF6」では高周波MOS-FETを新規に開発し、「SP12T」スイッチに適用した。これにより、挿入損失(f=2.7GHz)が0.42dB、2次高調波歪(f=900MHz、Pin=25dBm)が-90dBmの性能を実現した。この値は、従来の「TaRF5」を使った製品に比べ挿入損失(f=2.7GHz)を約0.26dB、2次高調波歪を約18dB低減しており、挿入損失低減によるスマートフォンの低消費電力化、および今後拡大していくCarrier Aggregationの対応に低歪み特性で貢献していくとしている。

今後、「TaRF6」プロセスを使用した製品ラインアップを年内にそろえ、世界各地で導入の進むLTEや、LTE-Advancedで多ポート化、複雑化していく高周波スイッチ用に低挿入損失、低歪のスイッチを提供して行くとともに、同技術を生かしたファウンドリサービスなども検討していく予定としている。

4G LTE-Advanced対応スマートフォン向け高周波アンテナスイッチ「SP12T」

「SP12T」の挿入損失特性