これまでもアーティストが自らの血液を使いさまざまな絵を描くという作品はあったが、今回は直接描くのではなくそれ用に作られたロボットプリンターを介しての作品である。
ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、テッド・ローソン氏の「ゴースト・イン・ザ・マシーン」は自身の血液で描いた等身大の自画像だ。静脈につないだチューブからローソン氏の血液がコンピューター数値制御装置の機械パーツへと流れ込むと、ロボットアームが完成図を設定されたプログラムに従って人間の姿を描き出す。
さまざまなテクノロジーを利用した作品の制作を続けるローソン氏は、有機的で人間的な手法を模索している。ロボットアームを取り付けたコンピューター数値制御装置に血液を流し込むというアイデアを思い立ついたときは、これは全身裸の自画像をやらずにはいられないと感じたそうだ。
「これは絵画であって、印刷ではありません」とローソン氏。こうした意向から、ロボット装置があえてミスを犯し、意図的に誤作動するように仕組んである。プログラムの想定しない出来事を引き起こすことで、自身が絵を描くときのように変化しつつ発展することを可能にしているのだ。
作品が表現するのは、実存的存在である人間と、われわれが利用しつつも依存する高度に発展したテクノロジーとのつながりである。ローソン氏によれば、本作品の意義は極めて個人的かつリアルな何かなのだそうで、「あらゆるものに存在する根本的な規範を明らかにしたいのです」とコメントしている。
なお、「ゴースト・イン・ザ・マシーン」は、2014年9月11日~10月4日までニューヨークのジョセフ・グロス・ギャラリーで開催される個展「ザ・マップ・イズ・ノット・ザ・テリトリー展」に展示されるということだ。
カラパイア
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