ティントリジャパンは9月10日、Tintriとして初めてOEMパートナー契約を富士通と締結し、富士通がTintriのOEMストレージ製品である「ETERNUS TR series」の販売を8月27日から開始したと発表した。

米Tintriは、2008年に設立され仮想環境向けに特化したストレージベンダーで、500以上の顧客と150のパートナーがいる。

マウンテンビューにある米国本社

富士通 ストレージシステム事業本部 VP 工藤哲郎氏

富士通はすでにネットアップ製品のOEM提供を行っており、同社にとってTintri製品は、OEM提供としては2社目となる。いずれもクラウド向けのストレージだが、富士通 ストレージシステム事業本部 VP 工藤哲郎氏によれば、よりスピードと求めるユーザーには、Tintri製品を提供、それほどスピードが必要ないユーザーには、ネットアップ製品を提供するとした。同氏は「Tintri製品によって、これまで提供できていなかった領域をカバーする」と語った。すでに50件程度の商談が進んでいるという。

富士通がOEM提供する「ETERNUS TRシリーズ」

富士通が販売を開始したのは、「Tintri VMstore T600」シリーズで、実効容量33.5TB(480GB SSD×9+3TB HDD×15)の「VMstore T650」と実効容量13.5TB(240GB SSD×6+1TB HDD×18)の「VMstore T620」。これをそれぞれ「ETERNUS TR650」「ETERNUS TR620」で販売する。価格は1,621万1000円から(税別)。ハードウェアやソフトウェアに変更は加えておらず、ネームプレート以外はオリジナルのまま提供するという。

「Tintri VMstore T600」シリーズ

米Tintri CEO Ken Klein氏

米Tintri CEO Ken Klein氏は、同社製品の特徴は、性能、自動化、迅速な適用、拡張性、経済性の5つだとし、「パフォーマンスを重視する顧客に向いている」と説明した。

用途は、VDIが30%、サーバ仮想化が40%、プライベートクラウドおよびテスト/開発が30%で、売り上げの35%が米国以外だという。国内企業では、トヨタ、みずほ証券、GMOクラウド、ソニーなどが導入しているという。業績も好調で、来年には株式公開も予定している。

Ken Klein氏は他社との違いについて、仮想化環境にフォーカスしており、Virtual Machine(VM)の状態を見て最適化することができる点、アプリケーションごとにQoSを設計して、最適なリソースを割り当て、スケーラブルに拡張できる点、すべてが自動化でき、マルチハイパーバイザーをサポートする点だとした。

ハイパーバイザーでは、同社はこれまでVMwareのみのサポートだったが、最新の「Tintri OS 3.0」では、新たにRed Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.3をサポート。年内にはHyper-Vにも対応する予定だ。

RHEVのサポートにより、単一の「Tintri VMstore」上にVMwareとRHEVの複数のハイパーバイザーで仮想マシンを展開することができる。また3.0では、Microsoft Active DirectoryおよびLDAPディレクトリ サービスをロールベースのアクセス制御(RBAC)と統合することで、ユーザーごとのアクセス制御と認証を可能とした。

今回のメジャーアップデートにより、単一の「Tintri VMstore」上に最大2000台の仮想マシンを格納することができるようになった。

「Tintri OS 3.0」の新機能

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏

富士通へのOEM提供は今年の3月から交渉が開始され、Tintriでは、富士通の要求に応じて機能強化も行ったという。

ティントリジャパン 職務執行者社長 河野通明氏は、「日本のクオリティを備えれば、世界で通用しないことはない。 成長の要はパートナーだ。富士通様へのOEM提供により、今年から来年の成長を築いていきたい」と述べた。

握手をかわす3氏(左から河野氏、Ken Klein氏、工藤氏)