シーメンスPLMソフトウェア(シーメンスPLM)は9月10日、業界戦略担当シニア・バイスプレジデントのステファン・バシャダ氏とシニア・バイスプレジデント兼アジア太平洋地域担当マネージング・ディレクターのケー・シー・イー氏が来日し、各業界の最新動向とそれに向けた事業戦略に関する記者説明会を実施した。

まず、各業界の動向について。同社の売り上げ比率はこれまでの航空宇宙/防衛業界がトップであったが、近年、自動車/輸送機器業界がトップとなり、産業機械/重機とエレクトロニクス/半導体が続く規模になってきた。自動車業界の売り上げが伸びを見せている理由についてバシャダ氏は「一部の地域を除き、世界的に自動車の新車販売台数が伸びていることが主な要因。各メーカーの車種が増えていることも追い風となっている」と説明した。

ステファン・バシャダ氏

各業界の動向とそれぞれの業界における課題

また、同氏は同社の製品・ソリューション群をすべて連動させる、「スマート・イノベーション・プラットフォーム」というアイデアを紹介。これによって、各業界の製造プロセスに適したソリューションを提供できるようになり、どのソフトウェアを使用しても共通のユーザーエクスペリエンスを提供することが可能になるとした。

業界別ソフト・ウェアソリューションを示すスライド。「スマート・イノベーション・プラットフォーム」はすべての製品群を包括するアイデア

これに加えて「4GD(Fourth Generation Design)」という新しい設計技術が紹介された。3D CAD上で利用者が自在にズーム・イン/アウトをでき、部品ごとにフィルターをかけることで「エンジンの電子系統だけを見る」といったことも可能になる技術で、スケジュールマネージャーと同期させることで、作業工程の管理もしやすくなるとする。

これらの機能は船舶のように何千もの部品を同時に制作・組み立てをする場合に有用だという。イー氏は「『4GD』は世界的に優秀な技術をもつ日本の造船メーカーの意見も多く取り入れられている」と語り、2014年末から造船業界向けのソリューションを皮切りに順次アップグレードしながら自動車など他の業界向けにも発表していくとした。

何千ものパーツを同時に作っていく造船業では作業工程の管理も重要なポイントとなる

なお、同社の製品やソリューションは大企業を想定しているが、中小企業向けに機能や設定などをあらかじめ組み込んだパッケージ型の製品も準備しているという。イー氏は「中国をはじめとするアジア市場を考えると中小企業に向けてソリューションを提供することは非常に重要」と述べ、「日本におけるわれわれの業績はここ3年で最も良い。製造業が上向きにある証拠だと思う」と日本・中国をはじめとするアジア市場でのビジネスチャンスの拡大に期待を寄せた。