資生堂は9月8日、顔の赤みの新たな発生要因を解明したと発表した。
同成果は学芸大西口クリニックとの共同研究によるもので、9月10日からデンマーク・コペンハーゲンで開催される「第44回ヨーロッパ研究皮膚科学会」で公表される。
同社が2008年より行っているは「グローバルお客さま研究」の中で、「赤み」や「シワ」などによって生じる「肌の色ムラ」は年代、人種を問わず、女性の肌悩みの上位に挙がっており、特に欧米の白人女性では"赤みの色ムラ"が顕著であることがわかり、その発生要因を解明する研究に着手したという。
同研究ではまず、赤みをもつ白人女性を観察し、肌全体に赤みが広がっているタイプ(70%)、毛細血管が浮き出たタイプ(18%)、ニキビが存在するタイプ(12%)の3つに分類し、最も多かった全体に赤身が広がっているタイプに着目した。
赤み部位では血管状態に変化があると考えられたため、赤血球中の赤色タンパク質であるヘモグロビン量と血流量について計測をしたところ、赤み部位では赤みがない部位に比べ、それぞれ30%増加していたという。また、赤み部位では経皮水分蒸散量が約20%多く、肌表面のバリア機能が停止し肌あれ状態となっていることがわかったという。
また、赤み部位の毛細血管の状態をビデオマイクロスコープで拡大観察したところ、赤み部位では毛細血管がより多く認められ、赤みは毛穴周りで顕著に観察された。
さらに、赤み部位の皮膚断面を染色して観察したところ、毛細血管の増加と拡張が確認された。毛細血管の増加と拡張に関する血管内皮細胞増殖因子「VEGF-A」を調べたところ、表皮で顕著に増加していることが確認された。
これらの結果より、「赤み」の原因は、肌内部の表皮におけるVEGF-Aの増加によって毛細血管が増加・拡張し、慢性的な炎症状態になっていることと、肌表面のバリア機能が低下していることだと結論付けられた。
そこで、「VEGF-A」の産生を抑制する成分である「緑茶抽出液」、炎症を抑える「グリチルリチン酸じかリム」、肌荒れを防ぐ「キシリトール」などを配合した美容液を調整し、赤みが肌に全体に広がっている白人女性を対象に、8週間継続使用する試験を行った。その結果、各層中のVEFG-A量、血流量(約13%減)、および肌あれの指標となる経皮水分蒸散量(約12%減)が良好になるとともに、外観も改善が見られたという。
同社は、今回得られた知見と技術を、赤み対応スキンケア化粧品の開発に向けて応用していくとコメントしている。