東芝は9月5日、無線LANに標準装備されている時刻同期機能を利用して、接続された機器を約±200マイクロ秒(1/5000秒)以内の高精度に同期制御する機能を開発したと発表した。同技術により、ハードウェアの追加コストなく、ソフトウェア実装で高精度な無線M2M(Machine-to-Machine)通信における同期制御が可能になる。

東芝では、機器のうちの1つ(親)が出力する同期制御用基準信号を、無線LANを介して別の機器(子)での利用を可能とする技術を開発。

同技術は、無線LAN内部で通信のために同期しているTSF(Timing Synchronization Function)タイマを利用し、ソフトウェア実装で実現される。

具体的には、親となる制御機器から出力される同期用の基準信号を無線LANチップ内部でTSFタイマを基準に推定し、子機に伝え、子機においても、TSFタイマを利用して伝えられた基準信号を再現する。これにより、機器が同期して動作するための基準信号を共有可能となる。

また、ソフトウェア制御に伴い処理遅延が発生するが、パルス信号の周期性を利用した処理や処理遅延量に応じた処理により影響を緩和。これにより、通信負荷が高く処理遅延が大きい状態であっても、親となる制御機器に対して±約200マイクロ秒 (1/5000秒) 以内の高い精度で、他の制御機器の同期が可能であることを確認した。

これは、一般的な時刻同期方式としてよく知られているNTP(Network Timing Protocol)の100倍程度の高い精度となる。

今回の開発によって、無線接続されたインバータ間で、交流出力の周波数と位相の同期精度を一定以内に保証できる。そのため、停電時のように系統の参照信号が得られない状況においても複数インバータで構成された電力システムを安定動作が可能になるという。