ニフティは9月4日、同社が提供するIaaS「ニフティクラウド」のサービス/機能を強化することを発表した。新サーバータイプ「Type-e」や有人監視サービス、ハイブリッドクラウド化作業を軽減する新ネットワーク機能の提供を開始する。
ニフティ クラウド事業部長の上野貴也氏 |
発表会に登壇したニフティ クラウド事業部長の上野貴也氏は、まずニフティクラウドの実績を紹介。HA(High Availability)機能を標準搭載し、99.9999%と高い稼働率を実現しているうえ、CPUの性能が高く、ネットワーク転送量が10TBまで無料であるなど、標準設定で質の高いサービスを提供していることを強調した。利用実績としては、エンタープライズのみならず、オンラインゲームやECサイトも豊富であるという。
そのうえで上野氏は、現在のニフティクラウドは、オンラインゲームも効率的に稼動できるほど高性能なCPUを提供しているが、「用途によってはオーバースペックになることがある」と現状を分析。そうした背景を踏まえて今回、よりコスト効率を高めたいユーザーのために、CPU性能を抑えたサーバータイプ「Type-e」の提供を開始すると紹介した。
性能を抑えた安価なサーバタイプ
Type-eは、これまで提供されてきた「Type-h」と同じハードウェア構成でありながら、性能上限が低く設定されており、その分、利用料が安価になっている。例えば、1vCPU、メモリ0.5GBのエントリープランでは、Type-hが4800円であるのに対して、Type-eは2210円。従来比、約53%引きの価格になっている。さらに最上位プランの4vCPU、メモリ32GBでは、従来比約73%引き。システムによっては大幅なコスト削減が期待できる。
なお、急な性能が求められた際などには、Type-eからType-hへ変更することも可能。また、反対にType-hからType-eにプランを下げることもできる。
こちらのサービスは10月1日より提供予定。ただし、利用できるのは、同日より運用が開始される東日本リージョン(east-14/east-21)に限定されている。
設定変更なしで、オンプレミスのシステムをクラウドへ
一方、ネットワーク機能に関しては、ニフティクラウド内でNATやDHCPの機能を備えたルーターが提供され、複数のサブネットを定義可能になるという強化が行われている。オンプレミス環境とニフティクラウドをL2TPv3/IPsecによりVPN接続し、同一サブネット上で管理できる機能も提供するため、ニフティクラウド内のネットワーク構成をオンプレミスと同じにすれば、既存サーバを設定変更することなくニフティクラウドへ移行できるといったメリットもあるという。
上野氏は、「企業によってはどうしても社外には出せないデータもあり、一部のサブシステムだけをクラウドに持っていくというケースも少なからずある。その際に、4、5年前に開発したサブシステムを作り直したり、改修したりというのは現実的ではない。設定も含めて現行のシステムをそのまま持っていけるというのは大きなメリットになる」と、サービスの意義を語った。
こちらは11月より提供予定。価格は以下のスライドのとおり。
24時間365日体制の有人監視サービス
そして、有人監視サービスは、ニフティクラウド上で稼動するシステムを人手により24時間365日体制で監視するというもの。仮想化レイヤのみならず、アプリケーションやミドルウェアなどOSより上のレイヤも対象にすることができ、クライアントの要望によっては、閾値を設けてそれ以下にならないようパフォーマンスを監視することもあるという。
異常を検知した際には、メールや電話でクライアントの担当者に連絡するほか、必要に応じてサーバ再起動などの一次対応も実施する。監視を担当するのは、ニフティクラウドに精通したニフティの技術者。問題の切り分けもスムーズに行えるため、迅速な解決につながるとしている。
有人監視サービスは同日より提供開始。価格は1台あたり8000円(税抜)。2014年12月度までは1台5000円(税抜)で提供するキャンペーンも実施している。