日立化成は9月2日、再生可能エネルギー用蓄電システム向けの鉛蓄電池として、従来品に比べ放電電流を1.5倍に高めた「LL1500-WS」を開発したと発表した。
鉛蓄電池は、風力発電など再生可能エネルギーの出力変動緩和用途の場合、放電容量の他、瞬間的な大きな変動にも対応することが求められる。しかし、より高い放電電流を実現するためには、蓄電池の容量を大きくする必要があり、導入コストが高くなることが課題だった。
そこで今回、期待寿命17年を保持しながら、単電池の最大放電電流を従来比1.5倍の900Aに高めた「LL1500-WS」を開発した。具体的には、従来品で正負極各1本ずつだった端子数を、正極3本、負極3本の構造にすることで、端子部の断面積を約25%増加させた。また、蓄電池内部の極板を並列接続している鉛溶接部の電流密度を1/3にした。これらにより、放電時の当該部分の発熱や電圧降下が抑制され、従来比1.5倍の電流での放電が可能となったという。
同製品により、再生可能エネルギーの出力変動緩和や、負荷平準化(ピークカットなど)と非常時バックアップの併用など、瞬間的に出力が変動する用途において少ない単電池数で高い放電電流を得ることができ、従来の単電池数を増やして高い放電電流を得る方法に比べ、導入コストの低減が可能となった。また、蓄電池の設置スペース・質量も従来より低減している。例えば、1MWで1時間放電するシステムの場合、従来比で蓄電池の価格は約12%、設置スペースは約16%、質量は約15%低減できるとしている。