米Googleがこのほど、ドローン(無人航空機)配達プロジェクト「Project Wing」を明らかにした。同プロジェクトの下、オーストラリアで1週間のフィールド実験が行われており、「実用化は数年先」としながらも安全かつ迅速な配達に向けて開発を進めていくという。

Project Wingは同社の先進技術開発部門であるGoogle Xで進んでいるドローン配達プロジェクトだ。8月28日に同社がYou Tubeで公開したビデオにより明らかになった。開発は2年前にスタートし、「自律的な配達が可能で、システムも信頼できるレベルに達した」と報告している。

動画はオーストラリアでの実験の模様をハイライトで集めたもので、飼い犬のドックフードを電話で注文すると、白色のドローンが上空に現れ、近くになるとホバリングし、そこから注意深くロープで荷を落とす形で届けられる模様がおさめられている。Project Wingはこの実験を含め、30以上のテストフライトを行ったと伝えられている。

「Project Wing」のオーストラリアでの実験の様子

プロジェクト創始者のNicholas Roy氏は、「この2年間の開発作業の結果、自律的なデリバリーが可能な信頼できるシステムを構築することができた」と語っている。オーストラリアでの実験の目的は、実際の操縦や運用がどのようなものになるのかを試すためだという。「製品化は数年先」としながら、「今後も開発の土台となる最初のプロトタイプのようなものが出来上がった」とまとめている。

同社はYou Tubeのビデオで、「安全な配達システムを実現する技術の開発はまだ始まったばかりだ。だが、商品や物資をより高速かつ安全に、効率良く運ぶことには大きな潜在性があると考えている」とコメントしている。

なお、フィールドテストの場所にオーストラリアが選ばれた理由は、見通しの利く土地があり、無人機(UAV)に対する規制が緩いことがあるようだ。

ドローンによる配達は、オンライン小売りの米Amazonが積極的に進めている。Amazonは2013年末に「Amazon Prime Air」としてドローン配達システムを開発していることを明かしており、2015年に実用化を目指すとしている。

「Amazon Prime Air」

AmazonとGoogle、大手2社がドローン配達技術に名乗りを上げた形だが、2社のドローンを分析したMashableは、ドローンの形状(Google Project Wingはテールシッター型、Amazon Prime Airはプロペラを8つ持つオクトコプター)、ローターの形(Project Wingは4基、Prime Airは8基)、配達方式(Project Wingは上空からの巻き上げ式、Prime Airは着陸しての陸揚げ式)などの違いを挙げている。

配達方式については、Prime Airは配達時に人間が触れる近さになることから子どもなどに危害を加える可能性がある一方で、巻き上げ式のGoogle Project Wingは人間にとって安全リスクが低いと分析している。また、走行距離についても、Amazon Prime AirのオクトコプターよりもGoogle Project Wingのテールシッター型のほうが論理的には長いとも記している。