日本ユニシスは9月3日、商用通信サービスに依存せず、災害時に通信が確保できる、安心・安全な街づくりのための「メッシュ型地域ネットワーク(以下、NerveNet)のプラットフォーム技術の研究開発」を、フィンチジャパン、ナシュア・ソリューションズ、東北大学と共同で独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)から受託したと発表した。

同研究では、災害時に加えて平時の活用方法を開発し、選定した地域で実証実験を行い、実用化を目指す。実際に稼働させるアプリケーションは、地域特性を踏まえ、かつNerveNetの強みを生かした適用分野を採択予定。

NerveNetによる「通信の対災害性強化」のイメージ

NICTが開発したNerveNetは、インターネットと異なり、各基地局のサーバに情報を持ち、かつ基地局同士が網の目のようにメッシュで接続する。基地局がメッシュ接続され、かつ自動経路生成機能を持つことにより障害や災害に強く、すでに東北大学のキャンパスや宮城県女川町の海岸で防災・減災のため試験導入されている。

また、小型で低消費電力の基地局装置を設置することで、容易に地域の情報サービスネットワークを構築できる。構築後は、基地局装置が自律・自動的に状況に応じて接続され、定常的な人的負荷の少ない運営を実現する。今回の実験を通じ、NerveNetが災害などの非常時に加え、平時でも多目的に利用でき、容易に維持可能なことを実証する。

最終的には、研究最終年度である平成28年度内に自治体や企業がNerveNetを活用したアプリケーションやプラットフォームを採用することを目指す。例えば、地域広告配信、インフラや機器の異常検知、子供や高齢者の見守り、監視カメラ、地域ネット内個人化サービス、無人宅配サービス、観光アプリや街アプリ、地域イントラネット、公共施設の内線電話、自然災害監視、公共交通の可視化、自動販売機の活用などが候補となっている。