A10ネットワークスは9月3日、DDoS防御機能を実装したIPv4枯渇対策/IPv6移行用ネットワークゲートウェイ「Thunder CGN」シリーズの新機種「Thunder 5435(S) CGN」「Thunder 6435(S) CGN」を追加し、9月下旬から提供開始すると発表した。

「Thunder 6435(S) CGN」

「Thunder 5435(S) CGN」

両製品は、ハードウェアベースのDDoS攻撃防御機能「Thunder SPE」を新たに搭載したのが特徴。SPEとはSecurity and Policy Engineの略で、セキュリティポリシーに特化したハードウェアで、マルチコアCPUに最適化した64ビットOSを搭載し、効率的で高速な共有メモリアーキテクチャを採用している。SPEは「Thunder TPS製品ライン」の上位モデルでも採用されており、セキュリティ機能の高速化とさまざまなポリシーベースのネットワーキング機能をハードウェアで実現する。

「Thunder SPE」

Thunder CGN製品ラインのDDoS防御機能は、最新OS「ACOS(Advanced Core Operating System) 2.8.2」で追加された新機能であり、DDoS防御機能を別のハードウェア機能にしたことで、ボリューム型DDoS攻撃を受けている最中でもパフォーマンスに影響を受けずに最大155Gbpsの高性能なIPv4枯渇対策・IPv6移行機能を利用できる。

また同社は、アプリケーションデリバリーコントローラー(ADC)「Thunder ADC製品ライン」においても、「Thunder SPE」プラットフォームを採用した新機種を、2014年第4四半期中に提供する予定だ。

A10ネットワークス 技術本部 本部長 APJエンジニアリング本部 本部長 天田賢氏

A10ネットワークス 技術本部 本部長 APJエンジニアリング本部 本部長 天田賢氏は新製品を開発した背景を、「CGNはパブリックなIPアドレスをもっているため、DDoS攻撃を受けやすい。SPEを搭載していないと、CPUリソースを奪われ、正常トラフィックが処理できなくなる」と説明した。

「Thunder 5435(S) CGN」は、1Uサイズで、Intel Xeon 10コアプロセッサ 、1G/10Gファイバー(SFP+)×16、40Gファイバー(QSFP+)×4を備え、スループットは77Gbps、パケット/秒(PPS)は5,000万。価格は、AC電源モデルが2,420万円から(税別、テクニカルサポート費用は別途)。

Thunder 6435(S) CGNは、1Uサイズで、Intel Xeon Dual 12コアプロセッサ、1G/10Gファイバー(SFP+)×16、40Gファイバー(QSFP+)×4で、スループットは155Gbps、パケット/秒(PPS)は1億。いずれも、9月下旬から提供開始予定だ。

両製品のスペック

また同社は、DoS攻撃に対する防御を提供するセキュリティ脅威防御システム「Thunder TPS」シリーズのミドルレンジモデル「Thunder 3030S TPS」を9月下旬より新たに提供開始すると発表した。

「Thunder 3030S TPS」

Thunder 3030S TPSは、5~10Gbpsのインターネット接続を利用する小規模なネットワークのDDoS防御を低価格で実現するために設計されている。スループットは、10Gbps、TCP SYN認証/秒(PPS)は650万、SYNクッキー/秒 (RPS)は650万で、インタフェースは1Gb/10Gbファイバー(SFP+)×4ポート。

価格は1,300万円から(税別、テクニカルサポート費用は別途)で、9月下旬より受注、出荷開始の予定。

「Thunder 3030S TPS」の位置づけ

A10ネットワークス 代表取締役社長兼CEO アジアパシフックジャパン バイスプレジデント 小枝逸人氏

A10ネットワークス 代表取締役社長兼CEO アジアパシフックジャパン バイスプレジデント 小枝逸人氏は、「A10は設立から10年が経ち、今年の3月にはニューヨーク証券取引所に上場した。今後A10は、次のステップへ向け成長していかなければならない。A10が10年でなぜここまで成長できたかといえば、代理店様と一緒にビジネスをやってきたからだ。製品がたとえ良いテクノロジーを持っていても、売り方やサポートを間違ったら良い製品ではない。最近はYutubeなどの動画などが拡大しており、Webサイトのパフォーマンスのための需要が拡大している。そのため、環境に合わせて戦略の転換を柔軟に行えるベンダーが優位性を持っている。また、モバイルの急速な普及によって、IPv6対応やサイバー攻撃などセキュリティの脅威への対応も顧客の課題だ。これらはすべてデータ量の肥大化に関係している。それに対応するソリューションを提供していくのが、ベンダーのミッションだ。そのためA10はいち早く100Gに対応し、インテリジェントな高速処理を実現している。また、ADC/CGSでDDoS対応した製品や専用のハードウェア、IPv6への移行をサポーする製品を出していくことで、これらの課題に対応できる準備ができている。DDoS対策は今後A10の大きな軸になっていくエリアだ」と、同社の強みを述べた。