東芝は9月3日、JR九州の新型車両において、レアアースのジスプロシウムを一切使用しない永久磁石を採用した全閉型永久磁石同期電動機と4in1VVVFインバータ装置を組み合わせた駆動システムを受注したと発表した。
受注したシステムは、JR九州筑肥線の姪浜・唐津間および唐津線の唐津・西唐津間を運行する新型通勤形電車305系で利用され、JRグループの量産型営業車両としては初めての採用となる。
新型車両は、西唐津から姪浜までの44.8kmの区間を運行し、姪浜から福岡市地下鉄空港線へ乗り入れている。
全閉型永久磁石同期電動機は、定格効率97%を実現する高効率な主電動機であり、一般的に車両に用いられる開放型誘導電動機の定格効率90%と比べ、効率が向上している。また、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンス性も向上している。
主電動機を駆動する4in1VVVFインバータ装置は、1台の冷却器に対して4個のインバータ回路を配置した4in1インバータユニットを2台搭載することで、8台の全閉PMSMを1台のVVVFインバータ装置で駆動できる。これにより、力行の消費電力量を削減するとともに、同社独自の制御方法で電力回生ブレーキの負担を増やし、回生電力量を増加させることで車両全体の省エネを実現する。