島津製作所は9月2日、東海大学 糖鎖科学研究所長の鈴木明身教授との共同研究成果として、258種類の糖脂質の質量スペクトルを収録した糖脂質専用のライブラリ「糖脂質ライブラリ」を発表した。
同ライブラリは、同社の液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-IT-TOF」を用い、試料の調製から装置の分析条件の設定、データ解析と特定までを専門家でなくても迅速に行うことができる、情報とツールを提供するものである。
具体的には、糖脂質の抽出法、分析条件、糖脂質特定用ライブラリなどが含まれており、糖脂質解析が初めてのユーザーでも、迅速に高精度な糖脂質分析ができるようになっている。取扱説明書中の抽出法、測定条件などに従って糖脂質の分析を行い、得られたスペクトルに対して、セラミド21種類、酸性糖脂質193種類、中性糖脂質44種類、合計258種類の糖脂質の実測マススペクトルを収録したライブラリによる検索を行い、糖脂質の構造を特定できる。
分析に用いる「LCMS-IT-TOF」は、イオントラップ(IT)という仕組みで特定のイオンを捕らえて開裂させた後、検出器に到達する飛行時間の違いから精密質量を測定(TOF-MS)する装置であり、特定のイオンをトラップして質量分析を繰り返すことによって化合物の構造の推定を高精度で行えるのが特徴となっている。同ライブラリには、最大でMS4スペクトルまで含まれており、MS/MSスペクトルでは区別ができないセラミド構造までを特定することが可能となっている。また、同ライブラリを用いることで、糖脂質の糖鎖部分だけでなく、今まで解明が十分に進められていなかった脂質部分までを含めた糖脂質全体の構造解析を簡便かつ高精度に行うことができる。
なお、価格は360万円(税抜き)。