日本オラクルは9月1日、SQLを用いて、リレーショナル・データベース、Hadoop、NoSQLデータベースに格納されている構造化・非構造化データへアクセスすることを可能にする新製品「Oracle Big Data SQL」を発表した。
代表執行役社長兼CEOを務める杉原博茂氏は、「企業でクラウドが普及している今日、生成されたデータと使われているデータに乖離がある。つまり、企業には使われずに眠っているデータが大量にある。われわれはクラウドに保管されているデータ活用の課題を解決していきたい」と説明した。
加えて、杉原氏は「57%のビッグデータのプロジェクトが失敗しているという調査結果があるが、その失敗の要因の1つに構造化データと非構造化データが混在しており、それらをうまく使いきれていないことがある」と、ビッグデータ活用における課題を指摘した。
さらに、データベース事業統括 専務執行役員の三澤智光氏は、ビッグデータ活用の障壁として「スキル不足」「セキュリティ、ガバナンスへの対応」を挙げた。こうしたビッグデータを活用するうえでの課題を解決するのが「Oracle Big Data SQL」だという。
同製品は、ビッグデータ活用に特化したオラクルのエンジニアド・システム「Oracle Big Data Appliance」上で稼働し、Oracle Database 12.1.0.2 Enterprise Editionをインストールした高速データベース・マシン「Oracle Exadata Database Machine」と連携して稼働する。
同製品の導入によって、これまでのように、Hadoop、NoSQL、RDBといった異種プラットフォーム間でデータをコピー・移動したり、プラットフォームごとに異なるクエリを作成しそのクエリ結果を組み合わせる外部エンジン・プログラムを利用・開発したりする必要がなくなる。
ユーザーはSQLのスキルを活用して、Oracle Database上の既存データとHadoopやNoSQLデータを組み合わせて活用することが可能になる。
三澤氏は、同製品は他社製品に対し、構造化データと非構造化データの融合において優れているとアピールした。同氏によると、他社が採用している「フェデレーション型」では、すべてのSQLが使えるわけではないため既存のアプリケーションの改修が必要になるのに対し、同製品は「データベース統合型」であるため、同社のSQLがすべて利用できるのでアプリケーションの改修が必要ないという。
また、同製品は、Oracle Exadata Database Machineの高速化技術「Smart Scan」を搭載しているため、特定のクエリに必要なデータをHadoop上のローカル環境で検出でき、データの移動を最小限に抑えられる。
そのほか、同製品の特徴に、データリダクションや権限コントロール、権限ユーザーのデータアクセス制限といった、Oracle Databaseのセキュリティ機能を、HadoopとNoSQLのデータにも適用可能な点がある。さらに、Oracle Big Data Applianceの認証・認可・暗号化・監査の機能と組み合わせることで、ガバナンスを強化するプロセスを簡略できる。
同製品のリリースは今年9月予定で、価格は出荷時に発表される。