レンゴーは9月1日、レアアース(希土類)を使用せず、可視光照射で発光する蛍光体「ガイアフォトンγ」を開発したと発表した。

同製品は、レアアースを使用しない新しい蛍光体として開発された「ガイアフォトン」の改良版で、410nmの紫色の可視光照射で590~630nmの茜色から赤色に発光する特性を有している。これまでは、350nm以下の紫外線照射が必要だったため、紫外線発光LEDの本格的普及が実用化のネックとなっていたが、この問題を克服し、可視光照射による光の3原色表現の基本的なレシピを確立したという。

一方で、既存の蛍光体は原料に必ずレアアースを使用し、そのほとんどを輸入に頼るため輸出国の政策の影響を受けるとともに、取引価格も高止まりしている。特に、赤色に発光する蛍光体の価格は非常に高価となっている。これに対し、「ガイアフォトンγ」は、レアアースではなく産出国も多様な銀を用い、ゼオライトにイオン交換法で担持させるため、焼成工程が不要で製造時のエネルギー消費が少なく、価格も既存品の数分の一以下になると見込まれる画期的な蛍光体である。さらに、粒子径もφ3~5μmとLED照明用蛍光体として適しており、今後、LED照明用途はもちろんのこと、より幅広い領域での活用が期待されるとしている。

また、今回の開発成果が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成26年度希少金属代替・低減省エネ材料技術実用化開発助成事業に、「Eu、Ce、Y不使用型Ag含有ゼオライト蛍光体の開発とその利用に関する研究」として採択された。今後、約2年後の実用化を目標として、発光強度の向上や熱劣化特性などの研究、開発に引き続き取り組んでいくとしている。

410nmの可視光照射で黄色から茜色へ発光している

410nmの可視光照射で白色から赤色に発光している