島津製作所(京都市)は8月末から、イメージング質量顕微鏡iMScopeの後継機「iMScope TRIO (アイエムスコープトリオ)」を発売した。新製品は欧州連合(EU)の有害物質使用規制のRoHS指令と安全規制のCEマークに対応しており、従来のアジアに加え、欧州とロシアでも販売を始めた。同社は「質量分析イメージ、光学顕微鏡画像、定性分析というiMScopeの3つの特長をトリオとしてさらに発展させ、国内外のライフサイエンス系の研究機関や製薬会社などでの幅広い用途に向けて市場投入する」としている。
昨年4月に発売したiMScopeは、科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として、瀬藤光利・浜松医科大学教授(解剖学)と共同で開発した成果を基に製品化した。光学顕微鏡の観察画像と大気圧下における質量分析で得られた5μmという高解像度の分子の分布画像を重ねて見ることのできる世界初の製品として最先端の研究開発に活用されてきた。日本発の分析装置である。
生体組織の代謝産物や未知の物質の増減をミクロの画像と重ね合わせて検出するのに威力を発揮する装置として注目され、一部の研究機関では病気の超早期診断や創薬につながる成果が得られている。iMScope TRIO はその基本性能を継承しながら、3番目の機能として液体クロマトグラフィーによる試料の定性分析もできるようにした。
本体価格は1億5000万円(税別)で、年間20台の販売を目指している。同社は「需要は最先端の研究所に限られるので、それほど大量に売れる製品ではないが、光学顕微鏡の画像と試料分析イメージを融合させたオンリーワン装置として研究に使ってほしい」と位置づけている。