産業技術総合研究所(産総研)は8月28日、逆水性ガスシフト反応の触媒活性を有するニッケル錯体触媒を開発したと発表した。

同成果は、同所 触媒化学融合研究センター 官能基変換チームの富永健一研究チーム長らによるもの。詳細は、9月24~26日に広島大学 東広島キャンパスで開催される「第114回触媒討論会」にて発表される。

逆水性ガスシフト反応とは、二酸化炭素を水素化し、化学原料として有用な一酸化炭素に変換する反応である。従来、逆水性ガスシフト反応の触媒には、ルテニウムなどの貴金属が必須だったが、今回、分子内に3つの結合箇所を持つピンサー型配位子を用いて、非貴金属であるニッケルでも反応を進行させることに成功した。一酸化炭素は二酸化炭素に比べて反応性が高く、多種多様な化学品の原料として用いられているが、高い毒性を持っている。

これまで、産総研ではルテニウム錯体を用いて二酸化炭素を一酸化炭素に変換し、その場で次の反応に用いることで、従来一酸化炭素を用いて合成していたプロセスを二酸化炭素で代替する技術を開発してきた。しかし、触媒コストの高さが普及を阻んでいた。今回開発した触媒により、コストを1/100にできるため、機能性アルコールなどの各種機能性化学品の合成プロセスへの応用と普及が期待されるとコメントしている。

今回開発した触媒による反応の応用例