東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)は8月29日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のスピッツァー望遠鏡を用いて、若い恒星系を周回するダスト(塵)が爆発的に増大する様子をとらえたと発表した。この現象は岩石でできた巨大な2つの天体が激しく衝突して起きたと解釈できるという。
同成果はKavli IPMUのウィプー・ルジョーパカーン研究員および米国アリゾナ大学の研究グループによるもので、8月29日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載される。
同研究グループは地球から約1200光年離れた恒星を定期的に観測しており、2013年の1月に恒星を周回するダストの量が劇的に変化していることを発見した。これは2つの巨大な小惑星が衝突したためだと考えられており、地球のような岩石惑星は、長い年月の間にこのような衝突を繰り返して形成されると考えられている。今回の衝突では、ダストの増加量から直径100~1000kmの小惑星がさらに大きな小惑星に秒速15~18kmで衝突して砕け散ったと計算されるとのこと。
今回の成果は大規模な衝突の前後を通して観測した初めての例で、地球のような岩石惑星の形成についての理解を深めるものになると同研究グループは説明している。